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次期Windows 10最新動向:リリース秒読みの「19H1」はこう変わる (2/2)

間もなくリリースされるWindows 10の新しい機能アップデート「19H1」。それに実装される新機能をまとめてみた。また、同時に変更となるライフサイクルなどについても解説する。

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機能アップデートの適用タイミング「SAC-T」「SAC」の区別がなくなる

 こうした機能面の変更に加え、19H1からは、これまで行われてきた「半期チャンネル(対象指定)」(以下SAC-Tと表記)と「半期チャンネル」(以下SACと表記)の区別がなくなる。

SAC-T/SACとは?

 SAC-Tとは、年2回の機能アップデート(4月と10月)が配布されたらすぐにインストールを行うものだ。これに対してSACとは、その後の品質アップデートを経て、Microsoftが指定するバージョンが出るまで機能アップデートのインストールを延期させることをいう(Windows 10 The Latest「Windows 10の更新プログラム適用で地雷を踏まないためのWindows Update運用法」参照のこと)。

Windows 10のSAC-TとSACの関係
Windows 10のSAC-TとSACの関係
SAC-TとSACは、機能アップデートをインストールし始めるタイミングを制御する。

 「19H1からは、SAC-Tが廃止される」とMicrosoftは説明するが、実際に今後登場しなくなるのは、SACと呼ばれていたバージョンである。SACは、年2回の機能アップデートの配布が始まってから、幾つかのアップデートの後、MicrosoftがSACと指定するアップデートでインストールが開始される。

 このタイミングは、Microsoftが特定の品質アップデート以降を「SAC」と指定することで成り立っている。具体的な条件は公開されていないが、機能アップデートの配布開始後の経過を見て、十分「安定した」とMicrosoftが判断したバージョン以降がSACとなる。

SACがなくなるのは19H1(バージョン1903)から!?

 ここでSACになるタイミングとWindows 10のビルド番号の関係を照らし合わせてみよう。Windows 10は、機能アップデートで日付を元にしたバージョンが付く。その後、品質アップデートのたびにビルド番号の後ろの数字が単調増加する。例えば、Windows 10 October 2018 Update(バージョン1809)の場合、最初に配布されたものは「17763.1」となり、その後のアップデートのたびに「17763.55」「同.107」「同.134」となっていき、原稿執筆時点では2019年3月12日に配布された「17763.379」となっている。

 2019年3月28日になって、この「17763.379」がWindows 10 October 2018 Update(バージョン1809)のSACに指定された。それまでは、全て「SAC-T」または「LTSC(Long Term Service Channel)」であった。

 2018年春のWindows 10 April 2018 Update(バージョン1803)の場合、「17134.1」(2018年4月30日)から配布が開始され、「17134.48」「同.81」「同.84」と続き、約2カ月後の「17134.165」(7月10日)でSACに指定された。これに対し、October 2018 Updateは、機能アップデートが提供されてから約6カ月を経て、やっとSACに指定されたことになる。

 2019年4月に提供開始予定の19H1では、SACの指定が行われるかどうか明らかではない。しかし前述の通り、SAC-Tが廃止されるのであれば、それと区別すべきSACの指定も行われない可能性がある。

SAC-Tしか選べないHomeのユーザーは「人柱」?

 そもそも、SAC-T/SACは、以前、「CB(Current Branch)」「CBB(Current Branch for Business)」と呼ばれていて、Windows Update for Businessという「サービス」のために生み出された。

 発表されたのは、Windows 10の最初のバージョン(TH1)の出荷直後で実際には、最初の機能アップデートであるNovember Update(バージョン1511、TH2)から適用された。その意図は、ビジネスユーザーにより安定したWindows 10を届けるためとされていた。開発などには利用しないため、最新の機能をすぐには必要とせず、安定したバージョンを望むビジネスユーザー向けに、より安定したバージョンをインストールさせるという意図があった。

 しかし、世間はそうは考えてくれず、SAC(CBB)は、Microsoftが保証する安定バージョンという受け取り方をされた。このため、とにかくSACがリリースされるまで待つという風習が出来上がってしまった。また、SACが選択できるのは、Windows 10のPro/Enterprise/Educationの各エディションのみで、Homeは選択の余地がなくSAC-Tでのインストールとなる。

 このため、Homeのユーザーにとっては、安定していない(?)バージョンがインストールされてしまう「人柱」感があり、評判もよくなかった。実際、Windows 10 October 2018 Updateでは、2018年10月のリリース直後に「特定条件のフォルダ」でファイルが消えるという問題が発生した(詳細は「Windows 10 October 2018 Updateはなぜ一時配布停止となったのか」を参照)。必ず発生する障害ではなく、アップグレードも段階的に行われるため、全てのHomeユーザーに被害があったわけではない。それでも、Homeの場合、自動的にインストールされてしまうため、この障害を避けようがなかったユーザーが存在した。一方、Pro以上のエディションであれば、インストールタイミングをSACとしておくことで、発生条件を満たしていても避けることができた。

Enterprise/Educationの機能アップデートのライフサイクルも変更

 Microsoftは、これまでLTSCを除くエディションで機能アップデートのリリース開始から18カ月というライフサイクルを設定していた。これについても変更がある。

Enterprise/Educationではアップグレード周期を最長2年に延長可能

 2018年9月からEnterprise/Educationに関しては、毎年10月配布の機能アップデートに関しては、サポートライフサイクルを30カ月に延長した(Microsoft 365の公式ブログ記事「モダンデスクトップへの移行を支援」参照のこと)。一方、両エディションの毎年4月配布の機能アップデートに関しては従来通り18カ月である。

 また、HomeとPro(Pro for Workstationを含む)に関しては変更がなく、全ての機能アップデートは配布開始から18カ月のライフサイクルとなる。つまり、機能アップデートのライフサイクルで、ProとEnterprise/Educationとの間に大きな差が設定されたことになる。

 Microsoftによれば、機能アップデートの評価や大量のPCへのインストールにより時間をかけられるようにサポート期間を延長したという。また、新しい仕組みに対応させるため、Windows 10 Anniversary Update (バージョン1607、RS1)からApril 2018 Update (バージョン1803、RS4)までの4つの機能アップデートのサポート期間が30カ月に延長されることになった。

 簡単に言うと、Enterprise/Educationの秋のアップデートは30カ月となって、アップデートサイクルを長くすることができるようになった。具体的には、両エディションの場合、ポリシー設定やWSUS(Windows Server Update Services)によるWindows Updateの制御などを併用することで、2年というアップデートサイクルが可能になる。

Windows 10の新しいライフサイクル
Windows 10の新しいライフサイクル
Enterprise/Educationは、10月に配布される秋の機能アップデートのサポート期間が30カ月に拡大された。これにより、これらのエディションに関しては、2年周期のアップグレードというシナリオも可能になった。

 これまでの18カ月のみのサポート期間では、1年というサイクルが最長だった。サポート期間は18カ月あるものの、少なくともアップデートはサポート期間内に行う必要があり、大量のPCをアップグレードすることを考えると最後の6カ月間は、移行期間とせざるを得ず、年2回の機能アップデートを1回飛ばして1年おきに行うことしかできなかった。

 しかし10月配布の機能アップデートの寿命が30カ月となると、2年(24カ月=寿命30カ月−移行期間6カ月)というアップグレードサイクルが利用できるようになる。

今後のWindows 10のアップグレードサイクルは半年/1年/2年のいずれか

 そうなると、Windows 10では、大きく3パターンのアップグレードサイクルが可能になる。最短は半年で、これは年2回のアップグレードを配布開始とともに行う場合だ。もう一つは、機能アップデートのインストールを1年延期して、1年ごとにアップグレードを繰り返すものだ。そして今後は、Enterprise/Educationに関しては、2年というアップグレードサイクルが選択可能になる。

 半年のアップグレードサイクルは、特に何も設定する必要はなく、Homeに関しては、ユーザーの選択の余地さえない。1年周期の場合には、Windows Updateの「機能更新の延期」を1年(365日)に設定する。Pro以上のエディションであれば、原則設定が可能であり、Homeにはこの設定がない。2年のアップグレード周期を実現するためには、Active Directoryが運用されている必要があり、WSUSの導入が必要となる。

 なお、前述のSAC-T/SACの変更に伴い、[Windowsの設定]アプリの[Windows Update]−[詳細設定]からSAC-T/SACの選択である「更新プログラムをいつインストールするかを選択する」が変更になる。October 2018 Update(バージョン1809)まであった「半期チャンネル/半期チャンネル(対象指定)」を選択するドロップダウンリストボックスがなくなる。

SAC-T/SAC終了後のWindows Update設定

 SAC-T/SACがなくなるため、企業内でポリシー設定している場合を除き、今後は各PCでWindows Updateを設定しておく必要がある。ただし、Homeの場合には何もすることができない。また、それ以外のエディションでも常に最新のWindows 10を使う半年周期のアップグレードの場合には何も設定する必要がない。

 これに対して、トラブルが多い、配布直後のバージョンを避け、問題がないことを確認してからアップグレードしたい、あるいは年2回のアップグレードは煩わしいので1年周期にしたいといった場合には、手動でPCを設定する必要がある。

 ただし、2019年4月配布の19H1(バージョン1903)に関しては、従来「半期チャンネル」を選択していたPCに関しては、自動的に60日のアップグレード延期が行われる(これまでは30日までしか延期できなかった)。半期チャンネルを指定していた場合、19H1がインストールされてから設定を変更した方がいいだろう。

 まず、配布直後のトラブルを避ける場合だが、これはMicrosoftに習い60日程度の延期を行えばいいだろう。また1年周期としたい場合には、最大値となる365日を設定する。

 設定は、[Windowsの設定]アプリの[更新とセキュリティ]−[Windows Update]−[詳細オプション]−[更新プログラムをいつインストールするかを選択する]の「機能更新プログラムには、新しい機能と教科内容が含まれています。延期可能な日数は次の通りです」で行う。

アップデート後の再起動とサインインを自動化する「ARSO for Enterprise」

 19H1に搭載される機能の1つに、「ASRO for Enterprise」がある。ASRO(Automatic Restart and Sign On)は、機能アップデートなど、再起動を必要とするWindowsのアップデートでサインイン後、最初に行われる設定処理(「こんにちは」で始まる画面)を自動的に行うためのものだ。この作業を自動で行うことで、ユーザーがPCを利用できない時間を短縮することが可能だ。

企業内システムでもARSOが利用可能になる

 これまでのASROは、Active Directoryで管理されているアカウントでは利用できなかった。非Active Directoryユーザー向けには、Windows 10 April 2018 Update(バージョン1803)から利用できるようになっていた。ASRO for Enterpriseは、Azure Active Directoryでユーザーを管理しているEnterprise/Educationに対して、ASROを提供するものだ。ただし、以下の条件を満たす必要がある。

  • Azure Active Directoryを利用している
  • BitLockerが有効
  • TPM 2.0およびセキュアブートが利用可能で有効になっている

 これらの条件を満たしている場合、[Windowsの設定]アプリの[アカウント]−[サインインオプション]−[プライバシー]で「サインイン情報を利用してデバイスのセットアップを自動的に完了し……」を有効にすることで、ASRO for Enterpriseが有効になる。これにより、機能アップデートの場合など、再起動後、しばらく放置しておくだけで、自動的に設定処理が開始される。

アップグレード翌日の出勤後、すぐにWindows 10が使い始められる

 ただし、アップグレードが行われた直後にサインインしてしまうと効果がない。アップグレード後、自動で設定するといっても、処理時間自体は変わらないので、アップグレード後にしばらくPCを放置しておく必要がある。例えば、会社などでアップグレードによる再起動を帰宅直前に行い、退社時間中にアップグレード作業をしておけば、翌日サインインするときには、全ての作業が終了していることが期待できる。

 ただ、日本の企業では、夜間にフロアの電源を全て落とすといったところも少なくないので、こうしたアップグレードが可能かどうかは職場環境に依存してしまう。

ASROには漏れなくアプリの自動復元機能も付いてくる

 なお、ASROを有効にすると、アプリの自動復元機能も同時にオンになる。この機能は、自動復元に対応したアプリが再起動前に起動していたとき、再起動後のサインイン時に該当アプリを起動して復元する機能だ。

 この機能自体は、Windows Vistaで実装されたものだ。これまで、Windows 10のASROは、設定項目こそあったが、Windows 10 April 2018 Update(バージョン1803)までは、ちゃんと動いていなかった。そのため、アプリの自動復元機能と組になっていても復元が行われないため、多くのユーザーは気が付くことがなかった。

 しかし、Windows 10 April 2018 Update(バージョン1803)から、「タスクマネージャーやレジストリエディターなどが勝手に起動している」「Google Chromeが勝手に動いた」といった報告が散見されるようになった。これらは、全てアプリの自動復元機能が原因である。

 ASROを「オフ」にすると、アプリの自動復元も止まるが、それでは初期設定で待たされる可能性が出てくる。注意すべきは、再起動を行うときに、不要なアプリを残さず、手動で全て停止させておくことだ。なお、Google Chromeに関しては、Google Chromeの[設定]−[詳細設定]−[システム]にある「Google Chromeを閉じた際にバックグラウンドアプリの処理を続行する」のスイッチを「オフ」にしておくと、Google Chromeが自動復元することがなくなる。


 19H1では、前述の通り、Windows Sandboxなどの大型の機能追加に加え、細かな修正も多い。こうした機能アップデートでは、少なからずトラブルが起きるものだ。そうしたトラブルに遭わないようにするには、提供開始後のトラブルが落ち着いてからインストールを行うことだ。

 そこで、Pro以上のエディションを使っている場合は、Windows Updateの設定を見直して、「半期チャンネル」に変更したり、機能更新プログラムの延期日数を設定したりしておくとよい。Homeの場合、適用の延期は行えないので、万一の場合に備えてシステムやデータのバックアップをとっておくなどの対策を考えた方がよいだろう。

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