ERPプロジェクト、4割強は予算オーバー矢野経済研究所が調査

» 2008年11月07日 00時00分 公開
[垣内郁栄,@IT]

 矢野経済研究所が11月7日に発表した調査結果で、ERPの導入コストが当初の予算と比べて超過した企業が43%に上ることが分かった。開発期間が長期化する企業も多いようで、矢野経済研究所は「中堅・中小企業ではコストなどの負担を理由にERP導入を躊躇(ちゅうちょ)する傾向がある」と指摘している。

 調査は国内の製造業、流通業、サービス業、金融業、地方自治体などに実施。対象数は621社。ERPの導入コスト、期間についての質問には244社が答えた。

 ERPの導入コストが予算通りだったという企業は48.4%で、43%は予算超過だった。うち、20%以上の予算超過だったという企業は全体の16%。また、ERPの平均導入期間は21カ月だった。内訳は導入検討からプロジェクト着手までが平均9.6カ月、着手から運用開始までは11.3カ月。同社は「長期にわたる導入期間と計画以上に高額の導入費用がユーザーの課題」としている。

 対象企業621社におけるERPの導入率は39.3%だった。「特に大手企業では導入率が5割を突破。今後は中堅・中小企業を中心に新規導入が進むと見られる」と同社は分析する。ERPからの横展開を考える顧客企業もあり、業務アプリケーションベンダにとっては、ERP導入済みの企業に販売管理システムや生産管理システムなどの関連アプリケーションを提案することが、売り上げを伸ばす鍵になるようだ。調査によるとCRMの導入率は11.3%、製造業におけるSCM導入は11.8%などと低い導入率にとどまっていて、ベンダにとっては伸ばす余地がまだまだある状態だ。

 ただ、企業がERPと同じベンダの関連アプリケーションを選ぶとは限らないようだ。ERP導入企業の34%は、ERPのコアとなる財務会計システムとは別のベンダの人事給与システム、販売管理システムを採用しているからだ。同社は「ベンダには他製品との連携におけるデータ統合機能やシステムの拡張性が求められている」と指摘している。

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