新潟県がアジャイル開発で文書検索・目録作成システム作成ウルシステムなどが支援

» 2010年03月25日 00時00分 公開
[大津心,@IT]

 ウルシステムズとジャストシステムは3月24日、両社が共同開発した「Document Intelligence」が新潟県の「文書検索・目録作成支援システム」(以下、文書検索システム)に採用・導入されたと発表した。4月1日から正式稼働する予定。

 新潟県庁では、日々作成される膨大な量のファイル管理について、ファイルサーバの利用ルールの不徹底や、ディスクの容量不足で使い勝手に問題があったという。そこでファイルサーバ容量を4テラバイトまで増量することを決定。その半面、データ量が増加することで検索性が低下するリスクが懸念されていた。そこで、同庁では容量増加に合わせて、詳細な利用ルールの策定・徹底と検索ツールの整備を同時進行で進めることにしたという。

イメージ 「文書検索・目録作成支援システム」の構成概要図

 そこで、新潟県庁は同庁内で作成される文書ファイルおよび入手した紙文書を、文書検索システムを利用して一元管理することを決定し、システム構築することになったという。文書ファイルを一元管理することで、データの再利用に伴う文書作成業務の効率化や、文書台帳作成業務の自動化・省力化を図ることや、県が公開している公文書目録の自動作成なども目的の一部となっている。

 実際に開発を行ったウルシステムズ 事業推進企画室 シニアコンサルタント 植田淳氏は、「新潟県庁は課が400以上存在し、要件をまとめるのが難しかったため、要件を聞きながら短期間に開発を繰り返して行うアジャイル開発を採用した。実際には、2週〜1カ月間の開発を5回繰り返し、約3カ月間で開発を終了することができた」と説明した。

 文書検索システムの概要は、まず県庁職員がファイルサーバの特定フォルダに文書ファイルを保存すると、自動的に文書のメタデータと目録情報を文書検索システムに読み込んでインデックスを更新・管理する。インデックス更新時に保存ディレクトリやフォルダ名を分類情報として各文書ファイルにメタデータを自動的に設定するのが特徴だ。

 全文検索機能を提供するほか、目録情報やファイル基準表などを自動的に作成する。従来は紙ファイルを特定のキャビネットに保管し、それをExcelで管理。1年に1度目視で確認しながら表を更新したり、保管期間の過ぎたファイルを倉庫へ移動したりしていたため、この手間を一部自動化することで大幅に低減できるという。

 また、昨今の核密約文書問題や薬害エイズ問題など、国レベルの公文書管理に数々の問題があり、公文書管理法が成立するなど、公文書のあり方が変わりつつある。植田氏は、「当社でも紙文書のデータ化や省力化を手助けするべく、文書検索システムをベースとした公文書管理業務向けソリューションを展開していく予定だ」と今後の方針を示した。

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