PBC、中国進出企業に向けてMSのERPを機能強化韓国、台湾、香港向けのソリューションも展開予定

» 2010年04月15日 00時00分 公開
[内野宏信,@IT]

 パシフィックビジネスコンサルティング(以下、PBC)は4月15日、中国進出企業向けに機能強化したマイクロソフトのERP製品、「Microsoft Dynamics NAV 2009 SP1 RT版 中国バージョン」を発表した。「Microsoft Dynamics NAV 2009 SP1 RT版」をベースに、PBCが日本と中国の商習慣に対応した各種機能を追加した製品で、中国に現地法人を持つ日本企業の子会社管理を強力に支援するという。

 日本の国内経済成長率が低迷する一方で、経済新興国への日本企業の進出は目覚しいものがある。特に中国には年間1000社単位で進出しており、中国に販売/生産拠点を置く企業は、海外拠点を持つ日系企業の約半数にも及ぶ。ただ、現地法人の経営状況を管理するうえでは、現地の商習慣や会計制度、税制など、複数のハードルが存在する。そこで従来は、用友など中国ベンダの会計パッケージ製品を使うケースが多かったが、日本本社と情報をやり取りし、確実に管理するためには、言語や機能などの面で活用しにくい側面があった。

 「特に、日本本社のシステムとのデータ連携、IFRSや連結会計への対応、運用サポートなどが懸念されてきた。かといって、日本本社と同じ製品を中国の各拠点に導入したり、要件に合うようスクラッチ開発するとコストがかかりすぎる。そこで現地の商習慣や税制などに対応しながら、本社システムともスムーズにデータ連携でき、メンテナンスも容易な、より安いERPパッケージが多くの企業から強く望まれていた」(PBC 取締役社長 小林敏樹氏)

写真 PBC 取締役社長 小林敏樹氏

 「Microsoft Dynamics NAV 2009 SP1 RT版 中国バージョン」は、そうした要望に答えて開発した製品だという。具体的には、中国語対応をはじめ、中国基準の各種法定帳票を実装し、中国特有の会計制度に対応した。

 大きな特徴は、中国政府からの利用が義務付けられている「金税システム」とのインターフェイスを設けたこと。金税システムとは、中国の間接税の1つである「増値税」の請求書を発行するためのシステムであり、「これを使う際には、売り上げ情報を手作業で入力するケースが多く、企業とって大きな負担になっていた。そこで本製品には、入力された受注データをテキストファイル形式で出力する機能を設け、生成されたファイルを金税システムにインポート可能とすることで、この作業負荷を大幅に低減した」という。

 セキュリティ面にも配慮し、勘定科目のアクセスレベルを3段階で管理可能としたほか、ユーザーごとに転記権限を設定可能とした点もポイントだ。

写真 リーズナブルな価格設定もニーズに答えた結果の1つ

 一方、「Microsoft Dynamics NAV 2009 SP1 RT版」ならではの強みとして、「IFRS対応が容易なことや、グループ企業間の取り引きも把握できる『連結合算機能』を標準装備している」点も挙げられる。ユーザーの業務・立場に応じて、最もよく使う画面をログイン直後に表示する「ロールセンター」画面を標準で21パターン用意しているほか、Microsoft Outlookとの連携強化により、グラフや表を挿入した視覚性の高いレポート作成を可能にするなど、業務現場のユーザーの使い勝手にも配慮している。

 PBCの小林氏は、「中国の言語や商習慣への対応はもちろんだが、ERPとしての機能の高さもアピールポイント。シングルデータベースで複数拠点を一元管理できる点も、海外に複数の拠点を持つ企業ニーズに適っていると思う。今後2年間で韓国、台湾、香港向けのソリューションも展開する予定。日本企業の海外進出を強力にサポートしていきたい」と話している。

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