コンカレントエンジニアリング

concurrent engineering / CE / 同時進行技術活動


 狭義には、製品開発において概念設計/詳細設計/生産設計/生産準備など、各種設計および生産計画などの工程を同時並行的に行うこと。設計部門内で複数の設計者が共同作業を効率的に進めることを指す場合もある。広義にはこれを拡張して、企画・開発から販売・廃棄にいたる製品ライフサイクルの全フェイズに関連する部門が、製品の企画や開発、設計などの段階に参加・協働することをいう。

 狭義のコンカレントエンジニアリングは、CADCAEPDMなどのシステムを通じてデータの共有・共用を行い、例えば意匠デザインと構造解析、強度計算などを同時並行して作業することで、製品品質の向上と同時に開発期間の劇的な短縮を目指す。

 広義のコンカレントエンジニアリングでは、開発・設計のプロセスに、生産や購買、品質保証、営業、マーケティング、サービスの各部門、さらには社外の部品メーカーなどが参加することで、これら後工程の情報を開発者にフィードバックすることで全体的なコストダウンを行うことが目的となる。一般的に「製品コストの8割は設計の段階で決まる」とされるが、従来の意匠、機能、強度などの設計要件のほかに製造コストや生産設備上の制約、ユーザーの要求、保守のしやすさ、廃棄やリサイクルのコストなどを設計者に考慮させることにより、全体のコストが安くなるような部品図を完成させることを狙う。また、後工程の意見が開発初期段階で吸収されているため、製品出荷後の変更なども少なくなることが期待される。

 コンカレントエンジニアリングは、米国国防総省 高等研究計画局(DARPA)が1982年に始めた設計プロセス改善に関する研究に由来する。1986年のIDA((Institute for Defence Analysis)の報告書「R-338」では、「製品およびそれに関連する製造とサポートを含む工程に対して統合されたコンカレントな設計を行おうとするシステマチックなアプローチをいう。このアプローチは研究者に品質・コスト・スケジュール・ユーザー要求を含む諸要素を、最初から廃棄に至るまでの製品ライフサイクルのすべてで、考慮させるよう意図されたものである」と定義している。

 一般的にはチームを編成して行われるが、その作業はほとんどネットワーク上で行われることから、バーチャル・エンジニアリングとも呼ばれる。また、サイマルテイニアス・エンジニアリングという言葉もコンカレントエンジニアリングとほぼ同義に使われる。逆に設計・製造・販売のプロセスを順に行っていく手法をシーケンス・エンジニアリングという。

参考文献

  • 『実証研究:製品開発力――日米欧自動車メーカー20社の詳細調査』 藤本隆宏、キム・B・クラーク=著/田村明比古=訳/ダイヤモンド社/1993年2月(『Product Development Performance: Strategy, Organization, and Management in the World Auto Industry』の邦訳)
 
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