複式簿記

double-entry bookkeeping


 近代会計における記録(簿記)の方法の1つで、取引(資産・負債・資本・収益・費用の増減)の1つ1つを、常に借方(左)と貸方(右)という2つの側面から記録し、計算・整理する方法。現在、一定規模以上の通常の企業においては一般的な経理記帳の方法になっている。

 取引の基本は“交換”であり、手元の何かの財産を失うと同時に、何かを新たに得るという2面性がある。例えば、商品を買った(仕入れた)場合、現金が減少し、将来の生産・販売価値のある財産が増加する。預貯金をすると、現金財産が減って預貯金財産が増える。複式簿記は、こうした同時に生起する得失双方を相殺する形式で記録していく。

 複式簿記では取引が発生すると、まず仕訳を行う。仕訳とは、取引をどの勘定科目に属するか分類し、借方と貸方の科目に分けることをいい、仕訳帳(取引の仕訳を発生順に記録する帳簿)に記入していく。

日付 借方 金額 貸方 金額
6/7 交際費 50,000 現金 50,000
6/11 現金 800,000 売上 800,000
6/22 通信費 12,000 現金 12,000
6/29 普通預金 100,000 現金 100,000
仕訳帳の記入例

 この際、借方(左)と貸方(右)の合計金額が常に一致する。これを「貸借平均の原理」といい、複式簿記の特長となっている。

 分類は企業ごとに設定される「勘定科目」によって行われるが、これは資産・負債・資本・収益・費用の5つの要素に分類・集計できる。

資産
現金、売掛金、有価証券、受取手形、商品、建物、土地、備品など
費用
仕入、給料賃金、通信費、光熱費、消耗品費、広告宣伝費、交際費、支払利息、減価償却費など
負債
借入金、買掛金、支払手形、未払金など
資本
自己資本など
収益
売上、受取配当金、受取利息、雑収入など

 仕訳帳に記録した仕訳は元帳(総勘定元帳)に転記される。総勘定元帳は、勘定科目ごとの変化を記録・集計するための帳簿である。転記は単純作業なので、会計ソフトなどを利用すれば自動的に行われる。

借方 金額 貸方 金額
売上 800,000 交際費 50,000
  通信費 12,000
  普通預金 100,000
総勘定元帳(現金)の記入例

 企業会計では、これらの記録を基に、一定期間ごと(決算日など)に「貸借対照表」「損益計算書」などの財務諸表を作成する。貸借対照表は、資産=資本+負債(貸借対照表等式)、損益計算書は、費用+利益=収益(損益計算書等式)の関係に基づいている。

 また、継続的に事業を行うことを前提(ゴーイングコンサーン)に一定期間ごとの決算を行う場合、当期の収益と費用は当期に計上することが求められる。その作業を行うためにも簿記が必要となる。

 複式簿記の目的は、これら財務諸表を通じて経営者やステークホルダーが企業の経営成績や財政状態を分析・把握することである。複式簿記の記述ルールは原則として万国共通で、「ビジネスの共通言語」ともいわれる。

参考文献

  • 『複式簿記原理〈新訂版〉』 山桝忠恕=著/千倉書房/1983年4月
  • 『国語算数理科しごと――子どもと話そう「働くことの意味と価値」』 岩谷誠治=著/日本経済新聞出版社/2007年11月
 
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