エキスパートシステム

expert system / 専門家システム


 ある分野における専門知識(判断規則や事実など)を体系的に蓄積して推論規則を適用することで、蓄積されている既知情報から未知の判断や知見を導き出すコンピュータ・システムのこと。

 人間の専門家が複雑な問題や事象に対して正しい判断が下せるのは、判断に必要な知識を豊富に持っているからである。これと同様にエキスパートシステムでは専門知識をコンピュータで利用できる形にして蓄え、それらを組み合わせて推論することで、人間の専門家に代わって判断を行ったり、利用者の推論や判断を支援したりする。

 一般にナレッジベースと推論機構(推論エンジン)によって構成され、必要に応じて事実を格納するファクトベースなどが付加される。そのため、しばしば「ルールシステム」「ナレッジベース・システム」とも呼ばれる。対話型システムとして作られることが多く、ユーザーインターフェイスに音声やCGを使うものもある。

 エキスパートシステムは、1960年代後半にスタンフォード大学で作られた「DENDRAL」(有機化合物の分子構造を推定するプログラム)が最初とされる。以後、医療診断や鉱床発見のためのシステムが研究され、1980年代になると商用システムが登場、人工知能ブームを引き起こした。

 その後一時下火になったが、2000年代になってBRMS(business rules management system)として、ビジネスのさまざまな分野で利用されるようになっている。

参考文献

  • 『エキスパート・システム──基礎概念と実例』 ジェームズ・L・アルティ、M・J・クームス=著/太原育夫=訳/啓学出版/1987年1月(『Expert Systems』の邦訳)
  • 『エキスパートシステムの設計』 S・M・ワイス、C・A・クリコフスキ=著/森健一=訳/近代科学社/1987年7月(『A Practical Guide to Designing Expert Systemsの邦訳)
  • 『エキスパートシステムとは何か』 アレックス・グッダル=著/戸内順一=訳/啓学出版/1987年8月(『The Guide to Expert Systems』の邦訳)
 
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