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» 2016年02月09日 05時00分 UPDATE

特集:FinTech入門(4):「スマホで手軽に資産運用」の時代は訪れるか――みずほ銀行がアジャイル開発で取り組む「ロボアドバイザー」の今後 (1/2)

2015年10月にスタートした「SMART FOLIO」(スマートフォリオ)は、みずほ銀行が運営する資産運用アドバイスのWebサービスだ。サービス内容としては「ロボアドバイザー」と呼ばれるジャンルになる。サービスの概要と、みずほフィナンシャルグループとして、ロボアドバイザーを提供する狙いについて担当者に聞いた。

[@IT]

「ロボアドバイザー」は若い投資家人口を増やす特効薬となるか

特集:FinTech入門――2016年以降の金融ビジネスを拡張する技術

「Finance(金融)」と「Technology(技術)」を足した造語である「FinTech」。その旗印の下、IT技術によって金融に関わるさまざまな業務や処理を利便化し、ビジネスの拡大を図る動きが国内金融業界から大きな注目を浴びている。大手銀行からスタートアップまで「FinTech」という言葉を用い、新しいビジネスを展開するニュースが相次いでいる。言葉が氾濫する一方で、必要な技術について理解し、どのように生かすべきか戦略を立てられている企業は、まだ多くないのではないだろうか。本特集では金融業界がFinTechでビジネスを拡大するために必要な技術要件を浮き彫りにし、一つ一つ解説していく。


 今回は、「ロボアドバイザー」サービスを展開する大手銀行の取り組みを紹介する。


 最新のテクノロジーを活用し、金融分野で新たな視点のサービスを生み出したり、既存のサービスを改善したりしていく「FinTech」が社会一般の期待を集めている。今、特に注目されているプレーヤーは、一般消費者向けに会計ソフトや家計簿、資産管理、運用などの金融に関するWebサービスを提供するベンチャー企業群だ。これらは、時に既存の金融機関が提供するサービスとも連携しつつ、無料あるいは非常に安価な価格設定でユーザーを拡大することで、新たなビジネスモデルを確立しようとしている。

 一方、従来の金融機関も、「FinTech」によって生じる顧客行動の変化に対応する動きを見せている。従来、銀行や証券会社のサービスを受けるための手段としては、営業時間中に窓口に出向いたり、コンビニエンスストアのATMを使ったり、口座所有者向けのインターネットバンキングを利用したりといったものが中心だった。だが現在はこれらに加えて、ネットサービスを使った、より積極的なアプローチでユーザーの利便性を高め、新規顧客を獲得しようとしているのだ。

 そのような動きの一つに「ロボアドバイザー」と呼ばれるジャンルがある。資産運用を行うときの基本は「分散投資」だ。これは、持っている資産を一つの商品に集中させず、できる限りさまざまなタイプのものに振り分けることで、リスクを分散させるという考え方である。ロボアドバイザーでは、ユーザーが自分の年齢や年収、投資に対する考え方、投資可能な金額などを入力すると、そのユーザーに合った投資信託のポートフォリオ(金融資産の組み合わせ)に沿った資産運用のシミュレーション結果を即座に提示してくれる。つまり、これまで対面で行われることが多かった資産運用のアドバイスを「ロボ」(テクノロジー)に任せることで、人手を介さないスピードや利便性、先進性から新規顧客開拓につなげようという狙いがあるわけだ。

「スマートフォリオ」に見るロボアドバイザーの具体例

 この「ロボアドバイザー」を国内でサービスとして提供しているのは、ベンチャー企業お金のデザインの「ETFラップ」、ウェルスナビの「WealthNavi」、エイト証券の「8 NOW!」などがある。

 そうした流れの中で、みずほ銀行が2015年10月に運営をスタートしたのが、無料の資産運用アドバイスサービスである「SMART FOLIO」(スマートフォリオ)だ。一般的なPCのWebブラウザで利用なWebアプリケーションであり、スマートフォンでも利用できるようにユーザーインタフェース(UI)を最適化し、専用URLを用意している。

fintech4_1.jpg SMART FOLIOのスマートフォンUI(スタート画面)

 スマートフォリオでは、最初に「リスク許容度診断」として、7つの質問に答えることになる。設問自体はシンプルで、3〜5分もあれば答え終わる内容だ。回答を終えて次の画面に進むと、即座にユーザーの「リスク許容度」「最適な資産配分」「過去のシミュレーションチャート」「将来チャート」が示される。

fintech4_2.jpg SMART FOLIOのスマートフォンUI(モデルポートフォリオ)

 次の画面で投資金額を入力すると、ポートフォリオに合わせた具体的な投資信託商品の紹介と、「みずほダイレクト」での購入が行えるという流れだ。設問からモデルポートフォリオの提示、商品の紹介までの遷移はシンプルで、操作に迷うことはないだろう。電車での移動時などにスマートフォンから利用してもストレスは感じないはずだ。

fintech4_3.jpg SMART FOLIOのスマートフォンUI(具体的なファンドを選ぶ)

 「リスク許容度診断」と、それに基づくモデルポートフォリオ作成のロジックは、みずほフィナンシャルグループで機関投資家向けの資産運用コンサルティング案件を多く手掛ける「みずほ第一フィナンシャルテクノロジー」(みずほ第一FT)が担当していることも、スマートフォリオのウリの一つになっている。モデルポートフォリオは、みずほ第一FTが金融工学の理論(現代ポートフォリオ理論など)を活用して一定の前提の基で試算したとのことだ。

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