SAPジャパン、パートナーなどと共同研究を行うラボを開設仮想化やグリーンIT対応ソリューションなどを研究

» 2008年07月16日 00時00分 公開
[大津心,@IT]

 SAPジャパンは7月16日、パートナーやユーザー企業とともに研究開発を行う施設「SAP Co-Innovation Lab Tokyo」(COIL Tokyo)を開設したと発表した。日本独自の要求などに応じたソリューションや、エンタープライズSOA、グリーンIT、仮想化などの研究開発を行うという。

 COIL Tokyoは、2007年6月に米カルフォルニア州パロアルトに開設されたイノベーションラボに続く、世界で2番目の施設となる。SAPが最新ハードウェアやソフトウェアを用意し、パートナーやユーザー企業が自社製品などを持ち込んで共同研究を行う。場所は、大手町の東京サンケイビルの15階。参加パートナーは、日本IBMやマイクロソフト、日立製作所など17社。

 SAPは、従来より技術的な検証を行う「テクノロジーコンピテンスセンター」や、よりビジネス的な研究を行う「エンタープライズSOAコンピテンスセンター」を開設している。これら既存の施設と比較して、今回のCOIL Tokyoでは、「パートナーやユーザーとの共同研究によるプロトタイプ作成」や「SAPジャパンが推進する“Japanization”(日本対応)」「COILを通じたSAP開発部門やSAPリサーチ部門へのリーチ」などが可能になるという。

ユスフ氏写真 独SAP AG グローバル・エコシステム&パートナ・グループ エグゼクティブ・バイスプレジデント ジア・ユスフ氏

 COIL Tokyoでは、すでに2つのプロジェクトが動き出しているという。1つ目は、グリーンITを意識したプロジェクトで、インテルと共同でSAPシステムとインテルのマルチコア技術による消費電力の軽減を目指しており、独SAP AG グローバル・エコシステム&パートナ・グループ エグゼクティブ・バイスプレジデント ジア・ユスフ(Zia Yusuf)氏は、「シングルコアのシステムと、最新のクアッドコアのシステムの消費電力を計測したところ、最大で50%の消費電力削減効果があった。今後もさらに研究を進めたい」とコメントした。また、2つ目のプロジェクトでは、SAP ERPのアップグレード時における仮想化技術の利用を調査するため、ヴイエムウェアと共同で研究を行っているとした。

 COIL Tokyoの特徴は、プロジェクトごとのメンバーシップ制としている点だ。各ベンダやメーカーが企画したプロジェクトに応じて、パートナーやユーザーが参加し、SAPに施設利用料として料金を支払う形態となっている。米国パロアルトと日本のCOILは、マネジメント層が同一人物であるため連携が容易であるほか、米国パロアルトと日本のCOILのデータセンターはつながっているため、両者をつないだ共同実験なども行っているという。

 ユスフ氏は、「日本のSAPのエコシステムは確実に成長している。パートナーは230社を超え、ユーザーグループの『JSUG』も3500を超えている。今後、ますますビジネスの境界があいまいになっていき、従来大企業しかできなかったビジネスが、スタートアップ企業でもできるようになっていくだろう。COIL Tokyoでは、SAPの最先端の技術とパートナーの技術を融合することで、さまざまな新しいイノベーションをユーザーに提供していきたい」とコメントした。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ