コンタクトセンターで「コミュニケーションに変革」、アスペクトが新戦略通信と業務アプリケーションの融合図る

» 2008年02月20日 00時00分 公開
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 日本アスペクト・ソフトウェアは2月20日、新プロダクト・ビジョン「Unified Communication for Contact Center−コンタクトセンターのためのユニファイド・コミュニケーション」に基づく2008年の事業戦略を発表した。

 コンタクトセンターのパフォーマンス、コスト効率向上のニーズを受けて、昨年12月に発表した統合プラットフォーム製品「Aspect Unified IP」と、パフォーマンス管理、アウトバウンド最適化などのセンター運営機能を網羅した「Performance Edge」の2製品を軸に、当初は通信・金融業界をメインに営業活動を展開する。

写真 日本アスペクト・ソフトウェア株式会社 代表取締役社長 小枝逸人氏

 これまでは代理店販売がメインだったが、今後は直販にも注力。「ニーズに基づいて最適な製品を提案するソリューション販売への転換を図り、ブランド力、サービス力ともに向上を狙う」(同社 代表取締役社長 小枝逸人氏)という。

 現在、企業のコンタクトセンターでは、状況に応じて個別製品を追加・統合していった結果、複雑なシステム構成に陥り、システムの運用面、維持・管理面に問題を抱えるケースが増えている。

 これに対し「Aspect Unified IP」は、自動着信呼分配機(ACD)、プレディクティブ・ダイヤラー、品質管理といった各種機能を単一のプラットフォーム上に統合。既存システムとの連携・統合も可能であり、システムの簡素化に貢献する。同社は、この「Aspect Unified IP」導入によるセンターのパフォーマンス向上、管理コスト削減を提案していく考えだ。

写真 統合プラットフォーム製品「Aspect Unified IP」の概念図

 また、米アスペクトのCTO兼エグゼクティブ・バイスプレジデント ゲリー・バネット(Gary Barnett)氏は、ユニファイド・コミュニケーションとは「通信と業務アプリケーションとの融合による直接の産物だ」と解説。「IPネットワークと、企業のオープン・ソフトウェア・プラットフォーム上の全コミュニケーションを融合させることで、企業内コミュニケーションに変革が起こる」と力説した。

写真 米Aspect Software CTO兼エグゼクティブ・バイスプレジデント ゲリー・バネット氏

 具体的には、顧客からコンタクトセンターに問い合わせがあった際、常にセンターのエージェントが対応するのではなく、回答に最適な知識を持った社員にコールを回すことができる。社員は電話、メール、モバイルなど、自身の望むコミュニケーション方法を自由に選択することで、効率よく対応できる。これらにより「顧客ロイヤリティ向上とともに、顧客対応の質・効率の改善、売り上げの貢献が見込める」。

ただ、こうしたインテリジェント・ルーティング機能や、電話やメールなど、最適なメディアを選択する機能などは、すでにコンタクトセンター内では実用化されている。

 同社はこうした機能をコンタクトセンター内で完結させず、「Aspect Unified IP」で、企業内のさまざまな業務アプリケーションと連携・統合。企業全体に機能を拡大し、「企業内の誰もがナレッジワーカーとして顧客対応可能にすることで、全社的に、効率よく、顧客ロイヤリティ、売り上げ向上を狙う体制を築く」ことを提案していく。

 小枝氏は「Aspect Unified IP」について、「既存システムと柔軟に統合できる点がポイント」と解説する。

「例えば、ナレッジベースやCRMといったバックオフィスと統合すれば、顧客対応の質・効率ともに、よりいっそう向上させられる。いわば既存システムと共存する形のため、運用、コスト面でもメリットが大きい」。

 一方、ゲリー氏は「ノーテル、シスコ、マイクロソフト、IBMなど、エンタープライズには数々のキープレイヤーが存在する。しかし彼らはエンタープライズのノウハウは豊富でも、コンタクトセンターの知識には乏しい。その点、われわれの製品は彼らのエンタープライズ製品と融合、共存するもの。顧客とのコミュニケーションに変革を起こすユニファイド・コミュニケーション分野では、我々がキープレイヤーだと確信している」と力説した。

 なお、ユニファイド・コミュニケーション関連の具体的な製品ロードマップである「コンタクトセンターのためのユニファイド・コミュニケーション」は米国では3月10日(日本では11日)に正式発表する。

 小枝氏は、「企業において、コンタクトセンターがプロフィットセンターとして認識され、戦略的に活用する機運が高まっている。その点、ユニファイド・コミュニケーションは今後ますます注目されていく分野。製品を通して、コミュニケーション変革に大きく貢献していきたい」と話している。

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