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@IT広告特集企画 収益増大のためのCRM戦略(1) 小山健治 2001/11/26
連載の第1回ということで、ここでCRMそのものについて少し復習しておきたい。というのも、CRMの目的とするものについて少し誤解が生じているケースが意外に多いようなのだ。CRMとは、“Customer
Relationship Management”の略語であり、ともすれば「顧客管理システム」といった捉え方をされがちである。しかしながら、これはCRMを正確に言い表しているとはいいがたい。
CRMの本質は“Relationship”にこそある。CRMの目的は、顧客に関する情報を可能な限り集めて、管理を徹底することではない。顧客とのリレーションシップ(関係性)を常に高めていくという試みを通じて、新規顧客の獲得や、既存顧客のつなぎとめを実現することにある。そして、リレーションシップの基本となるのは、いうまでもなくコミュニケーションである。 まず、このことを念頭においた上で、CRMを構成する2つの機能をつかんでおきたい。1つは、蓄積した顧客情報をもとに具体的なアクションを展開する「実行系CRM」、もう1つは、高度な分析機能を使って、顧客の潜在的なニーズや行動の傾向を掘り起こし、適切に対処するための「分析系CRM」だ。今回の主要テーマである「SFA」は、このうちの実行系CRMに属している。
世の中のありとあらゆるSFAパッケージが、CRMを構成するソリューションの1つとなりうるわけではない。 これまで登場したSFAパッケージの多くは、残念ながら「営業マンの行動管理」という目的のもとで導入されてきたのが率直なところだ。実際、それぞれのパッケージが提供する機能をみても、個人のスケジュール管理や組織のマネジメントに重点がおかれ、必ずしもビジネス現場での営業活動をサポートするものではなかった。 個々の営業マンは、個々の高い柔軟性と創意工夫によって、幅広い役割を担いながら顧客対応を実践しているわけだが、そうした彼らの行動を厳密に管理するような内向きのシステムを強要するようなSFAを導入した場合には、逆に彼らの反発を買ってしまったというケースが多く見受けられた。 本来のSFAの目的は営業力の強化であり、営業マンの管理ではない。日々の営業活動に必要な顧客情報、顧客との接触履歴、自社および競合製品情報など、営業担当者の活動を支援する仕組みを提供すると同時に、セールス活動をサイクルとしてとらえ、そのプロセスをITの活用によって可視化し、組織全体で営業情報を共有することで個人の力に頼った営業を脱し、チームセールスを可能にすることを目的とする。 SFAという概念は、1993年ごろに米国で提唱されたといわれるが、それ以前からコンタクトマネジメントと呼ばれるソフトがあった(有名なACT!は1985年登場)。顧客情報をデータベースに登録して、それぞれの顧客との接触(コンタクト)を管理するというものだ。これはSFA、そしてCRMの原点ともいえる。 先方の担当者の名前や部署だけでなく、こちらから営業を掛けた顧客なのか、連絡をいただいた顧客なのか、購買履歴はどうなっているのか、営業を断られたばかりではないのか、電話セールスをしたのはいつなのか、ほかの営業マンがアポイントしていないかなどが一元管理できれば、担当者が変わったり、不在であったりしても顧客への対応が可能となる。 こうした観点から、CRMシステムの一部としてのSFAに求められる要件は、営業の現場で得られたさまざまな顧客の情報を、製造や物流、経理など関連するすべての部門にフィードバックするとともに、逆に、関連部門が持っている情報を営業マンやその先にいる顧客に向けて提供するという、双方向のコミュニケーション/コラボレーションの仕組みであるということができる。 そうした導入を指向してこそ、新規顧客の獲得や取引の拡大といった成果を獲得することができるのである。 <主要なCRM対応SFAパッケージ>
必ずしもSFAパッケージを導入しなければSFAを実践できないわけではない。先にも述べたように、SFAはビジネス現場の最前線で顧客と営業マン、そして企業との間のコミュニケーション/コラボレーションをサポートする仕組みなのである。 そういう意味では、多様なソリューションの形が考えられる。最近では、企業内の情報を統合化しようという流れの中で急速に進展しつつあるのがEIP(企業情報ポータル)である。こうした流れの中で、SFAが統合され、さらにモバイルが加わった新たなソリューションが育ちつつある。 例えば、富士通のEIPパッケージ「INTERSTAGE Portal Works」は、GUI上のサムネイル形式の小さなウィンドウを操作することにより、発注処理や見積もり処理など、業務目的ごとにカスタマイズされた情報コンポーネントに瞬時に切り替えてアクセスすることができる。 もちろん業務目的だけに限らない。1人の人物が、ある場面では一般の従業員、別の場面ではプロジェクトチームのリーダー、さらに関連会社の非常勤スタッフに名を連ねるなど、複数の役割を兼ねている場合、そうした役割ごとに関連する情報をカスタマイズして提供することも可能なのだ。 そして同社は、このポータル環境をモバイルにまで展開すべく、iアプリゲートウェイ機構を標準装備。iアプリ対応の携帯電話から情報コンポーネントへのダイレクトなアクセスを実現している。画面サイズやiアプリそのものの機能制限により、実際に活用できる情報は限られると思われるが、それでもビジネス現場における営業活動や顧客対応において、強力な支援ツールになることはいうまでもない。 このようにCRMシステムの一部としてのSFAには、顧客とのコンタクト管理をはじめ、モバイルの活用、顧客へプレゼンテーションするためのツールなど、さまざまな環境や手段が考えられる。固定化した形にとらわれず、いかに血の通った情報共有を実現できるかが、導入効果を大きく左右するポイントとなる。
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