楽天市場を支える基幹データベースがOracle Exadataに移行──さらなる成長に向けてバッチ処理時間と運用管理コストを半減足かけ6年の大移行プロジェクトを完遂した楽天の「Tech女子」に聞く(1/6 ページ)

楽天は2016年5月、楽天市場の基幹データベースを「Oracle Exadata」に移行する大規模プロジェクトを完了させた。足かけ6年の同プロジェクトを成功に導き、楽天市場のさらなる発展の基盤を整えた楽天DBAチームで日米をまたにかける1人の“Tech女子”が全容を明かした。[プライベートクラウド/データベース統合][Engineered System]

» 2016年12月12日 07時00分 公開
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ビジネスの成長にデータベース基盤が追いつかない! トラフィック/データ/メンテナンス量の増大、そして機会損失に苦しんだ楽天市場

photo 楽天 グローバルオペレーションズ部サイトオペレーション課 データベース管理グループ バイスマネージャー兼US DBAマネージャーの横内あすか氏

 楽天は2016年5月、同社の中核事業であるインターネットショッピングモール「楽天市場」の基幹データベースを「Oracle Exadata」へ移行するプロジェクトを完了させた。6年の歳月を費やしたこの巨大データベース移行プロジェクトをリードした1人が、現在は同社米国オフィスを拠点とする横内あすか氏(楽天 グローバルオペレーションズ部サイトオペレーション課 データベース管理グループ バイスマネージャー兼US DBAマネージャー)だ。横内氏にプロジェクトの全容を聞いた。

 1997年にインターネットを介して全国の小売業者と消費者を結ぶマーケットプレースとして誕生した楽天市場は、以来、両者のニーズに機敏に応えながら成長を遂げてきた。その背後で同市場の安定稼働を支えてきたのが、小売業者が販売する商品の情報や消費者の購買情報、および購買額に応じて付与されるポイントなどの情報を格納する基幹データベースシステムである。

 創業の地(東京都港区愛宕)にちなみ「あたご」と名付けられた1つのデータベースからスタートしたこの基幹データベースシステムが扱うトラフィック量とデータ量は、年2桁のペースで伸び続ける楽天市場の流通総額に応じて急速に拡大してきた。楽天市場の開設から2年後の1999年にはメタデータを残して他のデータを「分離DB」と呼ばれるデータベースに移し、それをシャーディングすることによりデータ量の増大に対応。その後、データベースプラットフォームを変えながら拡大を続け、「楽天スーパーポイント」などの新サービスの投入に伴った新たなデータベースも追加されていった。

 「ITがビジネスの足かせになってはいけない」とは企業IT関係者が誰しも肝に銘じる箴言(しんげん)だが、こと楽天市場において、データベースシステムのパフォーマンスやキャパシティーの不足は市場の存立にかかわる重大事である。DBA(データベース管理者)として楽天市場の基幹データベースの運用管理を担ってきた1人として、横内氏はこの間の苦労を次のように振り返る。

 「楽天市場の基幹データベースシステムは、流通規模の急増とのいたちごっこのように、常に拡大と改善を繰り返してきました。データ量の増加に対応するシャーディング、トラフィック量の増大に応えるスケールアウト/スケールアップを駆使しながら、絶えず増強に努めてきたのです」

 データベースの稼働を支えるサーバマシンも例外ではない。楽天市場の設立時に導入したSun Enterprise 450を皮切りに、数年ごとにサーバのリプレースを行い、2001年にはSun Enterprise 10000、2004年にはSun Fire E25K、そして2011年には当時の旧サン・マイクロシステムズ製ハイエンドマシンとなるSun SPARC Enterprise M9000を導入。それでも、「楽天市場で年に数回催されるセールイベント『楽天スーパーSALE』で生じる通常時の4、5倍のトラフィック量を何とかさばけるという状態でした」と横内氏。このまま同じプラットフォームでスケールアップしようにも、もはや次の打ち手(サーバマシン)がないという状況に至ったわけだ。

楽天のコアデータベースサーバ遍歴

 DBAらの苦難は、それだけではなかった。データベースの運用管理負担の増大である。例えば、想定を超えて拡大するデータ量が当時利用していたデータベース製品の制限に抵触し、それを回避するためのメンテナンスが負担増大を招く一因となっていた。

 「1テーブル当たりのページ数拡張制限に抵触するテーブルが出てきたのです。そのまま放置すればデータを格納できなくなるため、制限に抵触する数カ月前から該当するテーブルに手を入れて、制限を回避するための夜間メンテナンス作業を毎月のように繰り返していました。このメンテナンスの問題点は、事前の準備に非常に手間が掛かるのに加えて、基幹データベースであるため、これを利用する多数のアプリケーションを全て止めなければならず、その担当者も動員した非常に大掛かりなものだったことです」(横内氏)

 当然、メンテナンスのためにはデータベース、そしてサービスを止めなければならず、それによる機会損失も軽視できない。「もはやこのプラットフォームで楽天市場の成長に追随することは不可能」──。同社は2010年、データベース基盤の大幅刷新を決意する。

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提供:日本オラクル株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2017年1月11日

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