特集:Web制作者&開発者のためのIE10概説

Internet Explorer 10 on Windows 8のHTML5/CSS3新機能

尾崎 義尚
2012/08/24
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はじめに

 ついにWindows 8の製品開発が完了し、8月16日からMSDNサブスクリプション会員向けに製品版の提供が開始された。執筆時点では、Internet Explorer 10(以降、IE10)単体での提供はされていないが、IE10はWindows 7以降にも提供される予定である(Windows Vista以前には非対応)。

 以前、IE10 Platform Preview 2(以後、Platform Previewは「PP」と略す)までに追加された機能を紹介したが、その後も「8〜12週ごとにPPを公開する」という公約どおりに提供され、2012年6月には、PP6まで公開された。ただし、Windows 7上で動作するのはPP2までで、それ以降はWindows 8のPreview版上でのみ動作するバージョンが公開されていた。

 本稿では、IE10 PP2以降に実装された機能を中心にIE10の新機能を紹介していく。

Windows 8上のHTML5

 前回の記事でも紹介したが、MIX11のキーノートで発表されたのが、Windows上での「ネイティブHTML5」サポートだった。この時点では、ネイティブ・サポートの意味があまり分からなかったが、昨年の9月に開催されたBUILDで発表された「WinRT」(次の図を参照)によって、HTML5がWindowsの開発言語としてサポートされることが明らかになった。

Windows 8上で実行できる2種類のアプリ種別の開発基盤を概略表示した構成図
C#、VB(Visual Basic)、C++という開発言語に並んでHTML5とJavaScriptが並んでいる。
「Metro」と呼ばれていたUI(ユーザー・インターフェイス)デザインの名称は、正式発表されていないものの、「Modern」という用語に置き換えられるとうわさされている。Modern UIを採用した、WinRTを基盤として活用したアプリは、Visual Studio 2012では「Windows ストア アプリケーション」と表記されているため、この図の表記もこれに合わせた。

 IE10は、デスクトップ版、Modern UI版(=上の図の説明欄を参照)だけじゃなく、HTML5+CSS+JavaScriptで作成したWindowsストア・アプリでも同じエンジンが使われているため、OSとブラウザが密接に結び付いている。つまり、これを指して「WindowsがHTML5をネイティブ・サポートする」とMIX11で説明していたわけだ。

Modern UI版とデスクトップ版のIE10

 それでは2つのIE10を見ていこう。まずはデスクトップ版のIE10(次の画面を参照)だが、外観はIE9と全く変わっていない。

デスクトップ版のIE10
外観はIE9と全く変更がない。

 次にModern UI版のIE10(次の画面を参照)だが、単純にコンテンツ領域だけのキャプチャに見えるかもしれないが、全画面表示で枠がないため、このような表示になる。

Modern UI版のIE10
互換リストに含まれるサイトではFlashが実行可能になった。

 Modern UI版は、「FlashやSilverlightなどのプラグインが全くサポートされず、HTML5だけがサポートされる」と説明されてきたが、最終的にマイクロソフトが提供する互換リストに載せられたページのみ、Flashがサポートされることになった(Silverlightなど、そのほかのプラグインはサポートされない)。背景としては、タブレットでの利用を想定しているModern UIではバッテリの消費に非常に気を遣っており、「粗雑な作りのFlashアプリで無駄にバッテリを消費したくない」という考えがあるようだ。

Windowsストア・アプリ(旧称: Metroスタイル・アプリ)のHTML5実行エンジン

 最後に、もう1つのHTML5実行エンジンとしてWindowsストア・アプリを紹介しよう。

 前述したが、Windowsストア・アプリでは、C#やVB、C++と並んでHTML5+JavaScriptが扱えるようになっている。「そんなのおまけでサポートされているだけだろう」と思われるかもしれないが、HTML5とCSS3を使ったリッチな表現力があるため、意外とあなどれない。

 以下の画面に示すアプリは、プロジェクト・テンプレートにより自動生成されたコードを何も改変せずにビルドしただけだが、それなりにリッチなWindowsストア・アプリが実現できていることが分かると思う。

HTML5+JavaScriptを使ったWindowsストア・アプリ
ほかの言語のWindowsストア・アプリと全く変わらない見た目で作ることができる。

 このようにWindows 8では、2種類のIE10が提供されているのに加えて、プラットフォームとしてHTML5をサポートしているため、本稿で取り上げるHTML5/CSS3は、今後、Web開発者以外にとっても、重要な位置付けになることは間違いない。

 それでは次のページから、本題の「IE10におけるHTML5/CSS3の新機能」を説明していこう。


 INDEX
  特集:Web制作者&開発者のためのIE10概説
  Internet Explorer 10 on Windows 8のHTML5/CSS3新機能
  1.Windows 8上のHTML5/Modern UI版とデスクトップ版のIE10
    2.HTML5の新機能
    3.CSS3の新機能(1): viewport/3D Transforms/フォント/Transitions
    4.CSS3の新機能(2): Animations/テキスト


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