特集:世界初登場の最新Windows Phone概説

Windows Phone 7.5“Mango”とIS12Tとは?

山口 健太(Windows Phoneブログ「ななふぉ」管理人)
2011/09/01
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“Mango”アップデートはいつ?

既存端末へのアップデートは今秋

 日本を除く海外では、Windows Phone 7.5端末の発売はおろか、まだWindows Phone 7.5自体が正式に発表されていません。このことから、IS12Tがさまざまなスケジュールを大幅に前倒しして発売されたことが分かります。

 例えばIS12Tの発売直前には、開発者向けツールWindows Phone SDKのRC版がリリースされましたが、英語版以外では日本語版だけが先行公開されました。日本語を除く多言語対応は9月末のRTM版で予定されていましたが、日本マイクロソフトがIS12Tに間に合うよう、米国本社と交渉した成果とのことです。

 このように、日本国内ではIS12Tを購入するだけですぐに“Mango”を体験できるという、世界でもまれな状況になっています。しかし世界のWindows Phone 7ユーザーが“Mango”へのアップデートを受け取るのはもう少し先になりそうです。

 すでにWindows Phone 7.5のOS自体はRTMに到達しています。しかしデスクトップ版のWindowsと違い、RTMがそのままエンド・ユーザーの端末に配布されるわけではありません。キャリアがRTMをカスタマイズし、NoDoのときと同じ評価期間を経て、公開に至るでしょう。

 “Mango”にアップデートすることで、バージョンは「7.10.7720(ビルド7720)」となります。実はWindows Phone 7.5のOSバージョンは「7.1」なのです。また、開発ツールの名称も「Windows Phone SDK 7.1」となっています。これは「Windows 7」が、実際には「バージョン6.1」であるのと似ています。しかし混乱を防ぐため、特に必要がない限りは「Windows Phone 7.5」という製品名を用いて呼称することを推奨したいと思います。

既存端末で日本語は使える?

 すでに海外版のWindows Phone 7端末を所有している方、あるいはこれから購入を検討している方が気になるのは、「“Mango”にアップデートすることで、海外端末でも日本語を使えるかどうか」という点だと思います。

 “Mango”の多言語対応は、下記の2つの観点に分けて考える必要があります。

(1)キーボードから日本語を入力し、漢字変換できるかどうかという「入力言語」の対応
(2)OSのメニューなどが日本語表示になるかどうかという「表示言語」の対応

 まず前者のキーボード入力について、“Mango”は対応する全ての言語のキーボードをサポートしています。“Mango”にアップデートすれば、必ず2種類の日本語キーボードを含む、全てのキーボードを選択できるようになります。2種類とは、QWERTYによるローマ字入力と、12キーによるフリック入力・かなめくり入力です。

 問題は後者の表示言語についてです。表示言語として日本語に対応している環境には、「游ゴシック」という新しいフォントがインストールされます。OSのメニューは日本語になり、ロック画面の日付けが縦書き表示になります。しかし“Mango”にアップデートしたからといって、表示言語として日本語が追加されるとは限らないのです。

 これには2つの理由があります。1つは、ROMのサイズに限界があり、全ての表示言語に対応可能な容量を確保できないという理由があります。もう1つはキャリアのサポート上の理由です。日本語に対応する場合、マニュアルの整備やコール・センターへの追加投資など、キャリアに大きな負担がかかります。

 そのため、“Mango”へのアップデートにどの言語を含めるかは、キャリアに決定権があるといわれています。キャリアが新しい言語の追加を「必要ない」と判断すれば、“Mango”にアップデートしても表示言語が増えない可能性もあるわけです。特に既存のWindows Phone 7端末を扱っているのは全て海外のキャリアなので、正直なところ筆者は日本語をサポートするキャリアはあまり多くないのではないかと思っています。

まとめ

 本稿では、Windows Phone 7.5に至るまでの道のりを簡単に振り返ってみました。

 日本ではすでにIS12Tが発売されていますが、海外では今秋から年末にかけて、数多くのWindows Phone 7.5対応端末が発表される予定です。その中にはWindows PhoneをメインのスマートフォンOSとして採用するノキアの端末も含まれます。

 さらには“Mango”の次のアップデートに関する情報も公開されていくものと思われます。一説には“Tango”や“Apollo”というコードネームでうわさされるこれらのアップデートでは、もしかすると「Windows 8」との連携もあるかもしれません。

 今後もWindows Phone 7.5の世界に注目していきましょう。end of article

 

 INDEX
  特集:世界初登場の最新Windows Phone概説
  Windows Phone 7.5“Mango”とIS12Tとは?
    1.Windows Phone 7発売
    2.最初のアップデートNoDoへ
    3.Windows Phone 7.5“Mango”に至る道/IS12T、登場!
  4.“Mango”アップデートはいつ?


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