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サーバ仮想化バトルロイヤル(2)

ヴイエムウェアはごう慢なのか


三木 泉
@IT編集部

2008/8/12


 マイクロソフト:HAにはアプリベンダの参加も必要

 以下は、前回に引き続き、マイクロソフト サーバープラットフォームビジネス本部 コア インフラストラクチャ製品部 マネージャ 藤本浩司氏へのインタビューからお届けする。インタビュー時期は2008年7月中旬だ。

 Hyper-Vは64ビット版のWindows Server 2008でのみ提供されているなど、各種の制限はあるが、基本的なサーバ仮想化機能を提供している。仮想マシンのスナップショット機能は、稼働中の仮想マシンのある時点での状態を記録できるため、以前の状態に戻すことができる。また、「Quick Migration」という機能では、数秒以上の停止が必要ではあるものの、仮想サーバを別の物理サーバへ移行する機能が搭載されている。

マイクロソフト サーバープラットフォームビジネス本部 コア インフラストラクチャ製品部 マネージャ 藤本浩司氏

 競合の話はあまりしたくないが、シトリックスにしろ、ヴイエムウェアにしろ、管理コンソール(Dom 0、サービスコンソールの意味)はすべてLinuxだ。そこがWindows Serverの機能としては非常に重要だ。例えばミッド・マーケット以下のお客様で、Windows Serverとその上のアプリケーションを使っている人々は、仮想化をやるために、新たにLinuxのコマンドラインを学習しなければならない。VMware ESXiはそれだけなら安いが、それはハイパーバイザだけだ。管理ツール(付きのVI3)は80万円する。また、ESXiは2 CPUに限られている。

 われわれとしては、Hyper-VをWindows Server 2008に入れたということは、ある程度の管理ツールもWindows Server 2008の中に入れている。お客様やSI業者にとっては、新たな勉強をしなくてよく、使い慣れた環境を使える。

 新しいアーキテクチャを導入するというのはなかなか大変なことだと、われわれも思っている。いかに使い慣れたユーザビリティで仮想化を入れていってもらえるのかということが、Windows Server 2008とHyper-Vをセットで提供していることの1つの大きなメリットだ。

 (2008年後半に登場するHyper-V Serverは)GUIを持たないServerCoreを使っている。(現在のWindows Server 2008とHyper-Vとの組み合わせと比べると)GUIがあるかないかという違いなので、透過性という意味では変わらない。1台だけでやろうとすると、UIを持っていないので使い勝手という点では不利になる可能性があるが、ほかにWindows Server 2008があれば、そちらで管理ができる。複数台でやってもらう際には、Hyper-V Serverは大きなメリットが出てくる。

 米国では「仮想化の大衆化」といっていて、われわれも「みんなのHyper-V」といっているが、Hyper-Vは安いというところが一番だ。もう1つはハードウェア・メーカーがサポートしてくれていて、それとセットで出していくので、われわれのサポート能力やSI能力を踏襲しながら、前に進んでいける。

 2007年に発表された米国でのHyper-V Serverの価格は28ドルだ。日本では多少高くなると思うが、ほとんど無料のような価格であり、サーバ仮想化を普及させるメッセージを出しやすい。(ただし)ここは難しいところで、われわれはあくまでもWindows Server 2008とセットで仮想化を考えているということを理解していただきたい。(ServerCoreを使ったHyper-V Serverにおいても)デバイス・ドライバにしろ、ユーザー・インターフェイスにしろ、管理ツールにしろ、Windows Server 2008のアーキテクチャを使っていて、サーバ仮想化単体で何かできるというふうには考えていない。

Quick MigrationはHAを目指している

 Quick Migrationは、VMotionと競合するようなところまでは技術的に進んでいない。しかしそれは、その上のアプリケーションが追随してくるような仕組みを作ってあげなければならないということでもある。OSの部分は切り替わっても、アプリケーションについては知りませんよというモデルだと、たくさん存在しているISV(独立系ソフトウェアベンダ)にとっては使いにくい。そこはディスカッションを進めている。

 メンテナンスのときに使う部分で(VMotionと同等の機能を)提供していますかといわれると、多少負けている部分があるのは確かだ。しかし、ヴイエムウェアでも、可用性の確保についてはVMware HAを使うようになっていて、マイクロソフトのQuick Migrationと同じような機能(いったんサービスが停止することは避けられず、さらにアプリケーションレベルまでをカバーしていないという意味)を提供している。

 われわれもまだ、上のアプリケーションの動作を引き継ぐところまで、プログラムができていないが、次のバージョンではそれを考慮したものを考えている。それが実現した際には、ISVが対応するために、例えばこれだけ遅延があるかもしれないので、そこを気にしてこういうふうにつくってくださいよ、というメッセージが出せるようになる。

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Index
ヴイエムウェアはごう慢なのか
  Page1
シトリックス:仮想化のすべてを提供するのは間違っている
  Page2
ヴイエムウェア:データセンター運用自動化機能に大きな差
Page3
マイクロソフト:HAにはアプリベンダの参加も必要


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