次世代コラボレーションが将来の目的?
ヴイエムウェアがZimbraを買収、その意図を探る
2010/01/13
米ヴイエムウェアが米国時間1月12日、電子メール/コラボレーションソフトウェアベンダである米Zimbra買収に関する確定的な合意に達したと発表した。Zimbraは現在、米ヤフーの傘下にある。この買収プロセスは第1四半期中に終了の予定だ。
ヴイエムウェアによるZimbra買収は過去約1カ月にわたり、欧米ITメディアの間でうわさとなっていた。そして多くの人々がその目的やヴイエムウェアの企業ミッションとの整合性について首をかしげている。マイクロソフトのExchange Serverに対抗しようとしているのではないかという解釈もある。しかし、Exchange Serverよりも、Google WaveやSalesforce chatter、米シスコシステムズのコラボレーション・ソリューションなどが目指す世界につながる動きと考えられるのではないだろうか。
仮想化プラットフォームベンダであったヴイエムウェアが、2009年に米SpringSourceを買収した時点で、両社の間の相乗効果に疑いを差し挟む者もいた。しかし、クラウドサービスでいえばIaaSとPaaSの双方の基盤となる技術を手にしたことは、同社がサーバ/クライアント仮想化ベンダからクラウドプラットフォームベンダへと変身する意思を明確に示したものとして注目された。
今回の買収で、ヴイエムウェアはIaaS、PaaS、SaaSと、クラウド・コンピューティングでよく取りざたされる3つの主要レイヤすべてに足掛かりを得ることになる。
ただし、SaaSはもっとも汎用性が低く、参入の困難な分野だ。サーバ仮想化では、そのうえに載るOSとして幅広い選択肢を提供できるので、汎用性は非常に富んでいるといえる。PaaSツールは、本来的には開発環境が限定されてしまうが、SpringSourceではEnterprise JavaからRuby on Rails、Python、PHP、.NETまで、幅広い環境への対応を進めている。
SaaSの世界はこれらとは異なる。ERP、CRM、電子商取引、グループウェア/電子メールなど、アプリケーションが明確に分かれており、それぞれに確固たる地位を築いているベンダがいる。1社を買収したからといってSaaSの世界すべてに関わることはできず、ましてや支配的な地位を獲得することは難しい(SpringSourceはアプリケーション管理ツールを持っており、SaaS一般のアプリケーション運用管理に関わることはできる)。
SaaSのレイヤに食い込みたいというときに、どのアプリケーションで参入するのがいいか。汎用性で考えれば、電子メールということになる。加えて、Zimbraは自社が電子メールサービス事業者として前面に出るのでなく、米Yahoo!やさまざまな通信事業者の電子メールサービスを支える技術を提供している。いわば他社が提供するサービスのプラットフォーム提供者だ。ここでヴイエムウェアのクラウドプラットフォームベンダに向けた動きにつながってくる。
ここからはまったくの憶測だが、ヴイエムウェアがSaaSレイヤに参入するに当たって電子メールを選んだもう1つの理由として、将来的に電子メールが別の世界への入り口となるという判断もあるのではないだろうか。別の世界とは、次世代のコミュニケーション指向リアルタイム・コラボレーションだ。
Google Wave、Salesforce chatter、シスコの(現在のところ)IP電話とビデオを中心としたコラボレーション。それぞれまったく切り口や利用技術が異なり、一見相互の関連性は薄いように見える。しかし、いずれも柔軟に参加者を構成できる仕組みの上で、リアルタイム性の高いコミュニケーションや共同作業を社内および社外の人々との間で行えるようにすることを目指している。ヴイエムウェアは、こうした次世代のリアルタイム・コラボレーション技術に大きな可能性を見出しているのではないか。Yahoo!や世界中の通信事業者が、こうしたソリューションを展開し、相互がつながっていったとき、現在の電子メールとは異なる興味深い情報流通/意思疎通プラットフォームが出来上がる。
すぐにこれが実現するわけではないだろう。しかし、次世代のリアルタイム・コラボレーションは、今後大きく成長する可能性を秘めた分野であることはたしかだ。
一方で、ヴイエムウェアによるZimbra買収について、現時点での分かりやすい説明が欲しいという人には、米セールスフォース・ドットコムとの比較をおすすめしたい。セールスフォースは、同社のCRMサービスと密接に結び付いた形ながら、ヴイエムウェアが今後やりたいと思っているであろうことをかなりやっている。例えばヴイエムウェアは、Force.comやAppExchangeのようなサービスを提供し、構築されたアプリケーションの実稼働には、パートナーであるデータセンター事業者あるいはユーザー企業の社内環境を使ってもらうという流れを考えているのではないだろうか。
もちろん、これはグーグルが企業向けビジネスで目指す方向ともオーバーラップしてくる。しかし、「ヴイエムウェアは今後グーグルと闘うことになる」と言ってみたところでそれが意味を持つ表現だとは思えない。それよりも、セールスフォース・ドットコムを含めた3社の将来に向けたビジョンが、重なりの度合いを高めてきていると表現したほうが建設的だ。
関連リンク
関連記事
情報をお寄せください:
TechTargetジャパン
- CloudStack 3.0の新機能 (2012/5/17)
CloudStackは2012年2月末にメジャーバージョンアップした。管理インターフェイスなどの機能強化点を紹介する - AWSとAzure、性能と運用機能を比較する (2012/4/11)
いよいよAWSとAzureのパフォーマンスを比較。限定的な条件で行ったベンチマークなので、取り扱い注意! - CloudStackをAPIで操作する (2012/4/9)
CloudStackのAPIを使えば、アプリケーション、外部管理システム、管理サービスから、CloudStackを操作できる - 「OpenFlowの父」が語る、OpenFlowとSDNの真実 (2012/3/21)
OpenFloは誤解され、過剰に期待されているのではないか。OpenFlowを生みだした1人に、SDNやネットワーク仮想化との関係を含めて聞いた
|
|
キャリアアップ
スポンサーからのお知らせ
- - PR -

