XシリーズとSシリーズで新製品発表

アイシロンのNASはEMCの「ビッグデータ」担当に

2011/04/21

 EMCに買収されたアイシロン・システムズのスケールアウトNAS製品シリーズは、製品ラインナップに変更を加えることなく、「EMC Isilon」製品シリーズとして推進されていく。

 EMCジャパンとアイシロン・システムズは4月20日、共同で記者説明会を開き、両社の統合に伴う戦略を説明するとともに、アイシロンの新製品の発表を行った。これによると、EMCジャパンは7月1日付けで、アイシロン・システムズを「アイシロン事業部」として統合する。バックアップストレージベンダのデータドメインを買収した際と同様、EMCジャパンはアイシロンの既存販売代理店を維持。一方で新規販売パートナーを開拓していくという。

 EMCジャパン 代表取締役社長の山野修氏は、同社がIsilonシリーズを「ビッグデータ」のためのNAS製品として位置付けていることを説明した。同社のいうビッグデータとは、大容量の非構造化データで、コンピュータモデリング、音楽ファイル、ビデオ、ゲノム解析、医療用画像、衛星画像などを山野氏はその例として挙げた。アイシロン 代表取締役の江尾浩昌氏は一般的な企業でも、初期の容量要件が大きく、多数あるいは大容量の非構造データが存在するケースは多いと補足した。部署単位でばらばらに立ち上げているファイルサーバを全社的に統合したいというニーズに対しても、Isilonシリーズは有効だと話す。

 EMCにおけるIsilonシリーズの位置付けは下の図のとおり。製品シリーズ間の相対的な位置関係はこのままだが、今後、スケールの増大と非構造化データの伸びが続くため、市場自体が広がっていくという。

isilon01.jpg Isilonシリーズの位置付け

 Isilonシリーズは積み木のようにストレージノードを追加していくことで、容量とパフォーマンスを同時に向上できることから、「スケールアウトNAS」と呼ばれる。スケールアウトNASはいまでこそ大きな注目を集めるようになったが、江尾氏は、アイシロンが10年前からこのジャンルの製品を提供してきたことから来る実績と稼働の安定性を強調した。同シリーズでは単一のファイルシステムで、10PBを超える容量を実現できる。ストレージノードは最低で3台から構成でき、144台まで追加できる。

 IsilonシリーズはSATAドライブを使った当初から提供されているスケールアウトNASシリーズの「Xシリーズ」、SASドライブを使ったランダムアクセス性能重視型の「Sシリーズ」、バックアップ/アーカイブ用の「NLシリーズ」の3シリーズで構成されている。アイシロンは今回、XシリーズとSシリーズの新ハードウェア製品を国内発表した。今回の新製品にNLシリーズはないが、これはNLシリーズがなくなるということではないという。

 新ハードウェア製品は「Isilon S200」と「Isilon X200」。S200はクラスタ全体で最大13.8TBのキャッシュを提供でき、IOPSの最大値は140万を超えるという。X200は30GB/sを超えるスループットを発揮する。いずれも各ストレージノードにSSDを搭載することができ、複数のSSDを全体として1つのSSDとして利用できる。S200とX200を併用すると、SSD,SAS,SATAの3タイプの記憶媒体の間で、階層ストレージ管理が可能。

 アイシロンはまた、IsilonのOS最新版、「OneFS 6.5」を発表した。このバージョンで、上記のSSDを活用した階層ストレージ管理が実現した。また、CIFSのサポートは、従来Samba経由だったものが、ネイティブサポートとなった。また、遠隔レプリケーション機能の「SyncIQ 3.0」も発表。スナップショット機能の「SnapshotIQ」との統合で、データ変更箇所の特定が可能になり、データ転送の効率が向上した。

(@IT 三木泉)

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