「読めないトラフィック増」に対応するコアネットワークを実現

ジュニパー、OTNとMPLSのバイリンガル伝送装置を発表

2011/04/25

 ジュニパーネットワークスは4月25日、通信事業者のコアネットワーク向けの伝送装置「PTXシリーズ」を発表した。従来、DWDMとOTN(Optical Transport Network)スイッチで構成してきたコアネットワークにMPLSを統合することで、急増するトラフィック需要にコスト効率よく応える手段を提供するという。

 通信事業者のコアネットワークには多くのトラフィックが流れ込む。これをさばくための方法として、DWDMで構築した光伝送システムとOTNスイッチ、あるいはDWDMと大型のIPルータを組み合わせる方法が提案されてきた。しかし、サーキットスイッチモデルに基づくOTNスイッチはビット単価は低いが、急増するトラフィックへの対応が難しく、ピーク時に合わせて設計すると過大投資に陥るという課題があった。一方のIPルータはパケットとの親和性は高いが、構成が複雑になり、運用管理の手間やコストが増大していた。

juniper01.jpg ジュニパーネットワークス マーケティング本部 サービスプロバイダマーケティングマネージャ 佐宗大介氏

 ジュニパーのPTXシリーズは、OTNとMPLSを統合することにより、この問題の解決を図るという。MPLSの柔軟さを生かして、トラフィックの増減に応じて柔軟に経路を切り替え、スケーラビリティの高いネットワークを構築する。コスト効率も高く、OTNベースのアーキテクチャに比べ45%から65%のコスト削減が可能と同社は説明している。

 もう1つのメリットとして、管理の統合、簡素化が挙げられる。PTXの管理システムを通じてMPLS設定を変更すると、それに連動して自動的にWDM側の設定も変更できるという。

 ジュニパーネットワークス マーケティング本部 サービスプロバイダマーケティングマネージャの佐宗大介氏は、トラフィックの急増により、通信事業者が収益バランスを取るのが困難になっていると説明した。特に最近は、「モバイルやソーシャルメディアの普及により、トラフィックは予想も付かないタイミングで増加する。トラフィックの変動が読めなくなってきている」と指摘。PTXシリーズは、レガシーな通信を巻き取りながら、高い拡張性を備えたネットワークをコスト効率よく実現すると説明した。

 PTXシリーズには、最大8Tbpsの処理が可能な「PTX5000」と、最大16Tbpsをサポートする「PTX9000」の2モデルがある。いずれも、MPLS処理に特化した新チップセット「Junos Express」と、ジュニパーの独自OS「JUNOS」を搭載しており、2011年第3四半期にβ版を、2012年に出荷を開始する予定だ。

(@IT 高橋睦美)

情報をお寄せください:

Master of IP Network フォーラム 新着記事

キャリアアップ

- PR -

注目のテーマ

- PR -
ソリューションFLASH

「ITmedia マーケティング」新着記事

IBMが「巨大金魚鉢」で警告 生成AIがマーケターにもたらすリスクとは?
IBMが、ラスベガスの球体型アリーナ「Sphere」を、奇妙な魚が泳ぐ金魚鉢に変えた。テクノ...

広告業界の平均年収上昇率ランキングトップ10
国内540万社の企業情報を網羅した日本最大級のデータベース「SalesNow DB」が、上場企業...

ドミノ・ピザに学ぶ「必ず記憶に残る」ブランディング(無料eBook)
“たまたまピザを売っているEコマース企業”を名乗るドミノ・ピザの斜め上を行く発想はど...