データコアがストレージ仮想化ソフトの新版

複数の異機種ストレージにまたがる自動階層化を実現

2011/06/29

 データコア・ソフトウェアは6月29日、同社のストレージ仮想化ソフトウェア「SANsymphony-V」に複数ストレージをまたがる自動階層化機能を追加した新バージョン、「SANsymphony-V R8.1」を発表した。8月1日に出荷開始の予定。既存バージョンの上位エディションのユーザーには無償で提供する。

 SANSymphonyはさまざまなベンダのストレージ装置をまとめあげ、仮想ディスクプールを構成し、ここから仮想LUN(仮想ディスク)を切り出して利用できるストレージ仮想化ソフトウェア。仮想化した上で、シン・プロビジョニングや同期ミラー、スナップショットといった機能を適用できる。

 新機能の「Auto-Tiering」では、こうしてまとめあげたストレージ領域上のデータを、アクセス頻度に応じて自動的に適切なストレージ装置に移動することができる。実質的に、装置をまたがったデータの自動階層化が可能になる。単一のストレージ装置上での記憶媒体をまたがる自動階層化は、主要ストレージベンダにおける実装が進んでいるが、装置をまたがる自動階層化はまだ例が少ない。この製品の場合は、さらにこれをマルチベンダの組み合わせで、装置の新旧にかかわらず実現できるのが特徴。移動の単位となるデータブロックのサイズは、8MBから1GBの間で設定可能だ。

datacore01.jpg 異機種ストレージにまたがる自動階層化が可能
datacore02.jpg 個々の仮想LUN(仮想ディスク)にプロファイルを設定できる

 SANsymphony-VにおけるAuto-Tieringでは、まず仮想化の対象となる物理的なストレージ装置に、その性能およびコストに応じた階層を(管理者が)割り当てる。各階層は単一あるいは複数のストレージ装置で構成できる。そのうえで、すべてのストレージ領域を単一の仮想ディスクプールにまとめ上げ、ここから複数の仮想LUNを切り出すことができる。すると、それぞれの仮想LUNにおいて、複数階層にまたがるデータの自動移動が実現される。なお、仮想LUNには個々に「プロファイル」を設定でき、設定した複数の階層をどのように活用するか、ウェイト付けをすることができる。例えば高速アクセスが常に要求されるアプリケーション用の仮想LUNには、すべてのデータを第1階層のみに固定する、一般的なデータを格納する仮想LUNには、第1、第2、第3階層の間でデータを自動移動させる、といった使い方ができる。

 R8.1はほかにも、Windows PowerShellを使った150以上のコマンドレットの実装、VSS(Virtual Shadow Copy Service)対応の無償化、5ノード以上のMSCS(Microsoft Clustering Service)対応、遠隔レプリケーションにおける再同期の際に、遠隔地へ物理搬送したデータを使うことで、WAN回線の負荷を低減する機能、などが加わった。データコアでは、国内の新規売り上げの40%がデータセンター事業者やサービス事業者だといい、特にPowerShell対応は、運用自動化や他社製品との連携が可能になるメリットがあると強調している。

(@IT 三木泉)

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