単なる帯域増強から「洗練された管理」へ

米プロセラが日本法人設立、DPIでトラフィックを可視化

2011/12/08

 米プロセラネットワークスは12月8日、100%子会社の日本法人、プロセラネットワークス合同会社を設立し、日本市場に本格参入することを発表した。

 プロセラネットワークスは、通信事業者やサービスプロバイダなどをターゲットに、ディープパケットインスペクション(DPI)技術を利用してネットワークの可視化とコントロールを行う製品「PacketLogicシリーズ」を提供している。増加する一方のネットワークトラフィックの内訳を把握して最適化し、新たなサービス開発に結び付ける手助けをする。

 米プロセラネットワークスの社長兼CEO、ジェームス・ブレア氏は、動画コンテンツなどによるトラフィックの増加と、スマートフォンをはじめとするモバイルデバイスの普及によって、インターネットが大きな曲がり角を迎えようとしている現状を説明した。増加する一方のトラフィックをさばき、高品質なサービスを維持するために、「基本的なトラフィック管理から、より洗練されたサービス管理への過渡期にある」という。

procera01.jpg プロセラネットワークス カントリーマネージャー 仁枝かおり氏

 日本法人のカントリーマネージャーに就任した仁枝かおり氏は、とあるキャリアとの会話を振り返り、「昔はどんどんルータやスイッチを入れて、バックボーンを強化することだけに注力すればよかった。しかしこれからは単に増強するだけでなく、いかにトラフィックをこまめにコントロールするかという課題に直面している」と述べた。

 PacketLogicシリーズは、DPI技術を活用してこうした課題に答えるという。どんなデバイスからどんな種類のトラフィックが生まれ、どのくらい帯域を消費しているかをリアルタイムに可視化する「Intelligence Center」、その情報を元に、輻輳防止などのポリシーを実行する「Realtime Enforcement」、通信事業者の課金/運用システムと連携してポリシー管理を行う「Subscriber Manager」の3つの製品から構成されている。

 特徴は、オブジェクト指向のDPIエンジン「DRDL(Datastream Recognition Definition Language)」によって、高速かつ正確にコンテンツの中身を把握できることだ。個々のデータストリームを把握して、トラフィックシェーピングなどの処理を行うと同時に、DDoS攻撃やマルウェアの兆候をつかんで保護する機能も提供する。

 きめ細かくトラフィックの実体をつかむことで、定額料金に代えて適正な従量制料金を検討したり、高品質でYouTubeを見たいというユーザー向けに新たなメニューを提供するなど、「新しいサービスを作り出せるようになる」(仁枝氏)。まず、通信事業者やサービスプロバイダ向けに販売活動を展開する。すでにいくつか、同社製品のトライアルを開始している事業者もあるという。

(@IT 高橋睦美)

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