連載:Team Foundation Server 2010入門

第1回 Team Foundation Server 2010を導入しよう

WINGSプロジェクト りばてぃ(監修:山田 祥寛)
2010/05/25
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TFS 2010のインストール

 TFSのインストール自体は非常に簡単だ。DVDメディアをマウントし、そのDVDのルート・フォルダをWindowsエクスプローラなどで開いたら「TFS-x86\setup.exe」ファイル(32bitの場合)か「TFS-x64\setup.exe」ファイル(64bitの場合)を選択して実行する。後はウィザードにより、以下の要領でクリックしていくだけでインストールが完了する。

  • [Microsoft Team Foundation Server 2010 のページ]で[次へ]ボタンをクリック
  • [Microsoft Team Foundation Server 2010 セットアップ - スタート ページ]でライセンス条項に同意したうえで[次へ]ボタンをクリック
  • [Microsoft Team Foundation Server 2010 セットアップ - オプション ページ]でインストールする機能すべてを選択したうえで[インストール]ボタンをクリック(次の画面はその例)
図1 インストール機能の選択
  • [Microsoft Team Foundation Server 2010 セットアップ - 完了ページ]が表示されればインストール完了

 このように、わずか4ステップでインストール終了である。

 なお、TFS 2010のインストールまでであれば、前述の必要なミドルウェアのインストールすらも行っておく必要はない。この次に行う初期構成作業の前までに、ミドルウェアのセットアップが終わっていれば問題ないというセットアップ仕様に変わったためだ。

 ただし、図2に示すように、セットアップ終了後には直ちに初期構成作業に移ることになるので、やはりいままで同様に、インストール前に必要なミドルウェアのセットアップも終えておくことをお勧めする。

図2 インストールの完了

TFS 2010の初期構成作業

 続けて、TFS 2010を実際に使えるようにするための初期構成作業を行っていく。TFS 2010には3種類の構成方法が用意されていて、それぞれ表2のようになっている。

構成の種類 説明
基本 クライアントOSにインストールした場合に唯一選択できる選択肢で、SQL Server 2008 Express Editionのセットアップが自動で行われ、TFS 2010のソース管理、作業項目トラッキング、ビルド・サービスの3つのみを利用できる
標準の単一サーバ SQL Server 2008がインストール済みの1台のサーバにTFS 2010のすべての機能をセットアップし、同時にTFS 2010に必要なWSS(Windows SharePoint Services)サイトのセットアップも行える
詳細 TFS 2010の機能を複数台のサーバに分散させたり、SQL Server 2008の任意のインスタンスをTFS 2010用のデータベースにセットアップしたりといった、それぞれの設定を柔軟に決定できる
表2 TFS 2010の構成の種類

 本連載では表1に挙げた4つの機能を利用していくので、「標準の単一サーバ」の構成を利用することにする。

 前置きが長くなったが、構成作業に入ることにしよう。

 図2で、左下に[Team Foundation Server 構成ツールを起動する]というチェックボックスがあるので、ここにチェックが入っている状態のまま、[構成]ボタンをクリックすれば、図3の「Team Foundation Server 構成センター」を開くことができる。

 インストール完了画面を閉じてしまっている場合には、Windowsの[スタート]メニューから[すべてのプログラム]−[Microsoft Team Foundation Server 2010]−[Team Foundation 管理コンソール]を開き、左のツリー・ノードから[アプリケーション層]を選択し、[インストール済みフィーチャーの構成]リンクをクリックすれば同様に開くことができる。

図3 「Team Foundation Server 構成センター」

 そして、図3で[標準の単一サーバー]を選択したのち、右下の[ウィザードの開始]ボタンをクリックすると、標準構成ウィザードが開始される。ここでも先ほどのインストール同様、以下の要領でクリックしていくだけでインストールが完了する。

  • [ようこそ]ページでは、そのまま[次へ]ボタンをクリックする
  • [サービス アカウント]ページでは、TFS 2010を動作させるアカウント名とパスワードを設定して[次へ]ボタンをクリックする

 なお、サービス・アカウントは、TFS 2010がActive Directoryに参加している場合にはドメイン・ユーザーを設定するようにしよう。

  • [確認]ページでは、どのような設定で構成が行われるのかを確認したのち[次へ]ボタンをクリックする
  • [準備チェック]ページでは、TFS 2010を構成するための前提条件を満たしているかのチェックが行われるので、すべて成功したら[構成]ボタンをクリックする

 図4のように[準備チェック]ページで警告やエラーが出る場合には、[詳細な結果]欄にその理由が表示されるので、必要であればその理由を基に環境を設定し直してから再度、[準備チェック]を実行し、完全に問題がない状態で次に進むようにしよう。

図4 [準備チェック]の実行結果
  • [構成]ページで構成が始まったら、終了までしばらく待つことになる。構成が完了したら[次へ]ボタンをクリックする
  • [完了]ページでは、セットアップの状況とシステムに加えられた変更の内容を確認できるので、内容を確認し終えたら[閉じる]ボタンをクリックして、作業終了となる

 事前にミドルウェアのインストールが必要にはなるが、TFS 2010のセットアップはほぼ[次へ]ボタンをクリックしていくだけの非常に簡単なものであることがお分かりいただけただろう。

 余談だが、2010年4月13日に開催されたVisual Studio 2010 Ready Dayでは、「現場力を高める開発インフラ - Team Foundation Server 2010 Quick Start」というセッションで、TFS 2010のセットアップから利用開始までを実際にセッション中に行ってしまうというデモが行われた。そのセッションの内容は「Visual Studio 2010 Ready Day スペシャル レポート サイト」で公開されているのでぜひご覧いただきたい。なお、同サイトへのアクセスにはWindows Live IDが必要となる。

管理コンソール

 最後に、TFS 2010でようやく備わった「Team Foundation Server 管理コンソール」を紹介する。

 TFSは従来から実にさまざまなサービスと連携して動作しているが、いままではそのそれぞれごとに独立して存在していた設定を、Web.configファイルなどの設定ファイルを直接編集するなどして管理する必要があった。そのため、一括管理を可能とする管理コンソール機能が待ち望まれていた。

 管理コンソールを利用するためには、Windowsの[スタート]メニューから[すべてのプログラム]−[Microsoft Team Foundation Server 2010]−[Team Foundation 管理コンソール]とたどることで、図5のような画面を開く。

図5 Team Foundation Server管理コンソール

 残念ながらMMCスナップインではなく、単独のツールとして作られているものだが、このツールを利用することで、TFSやTFSが依存しているサービスの現在の状態を確認したり、サービスの構成を変更したりすることができる。例えば、自動ビルドを行うためのビルド・サービスの初期構成を行ったり(これについては自動ビルドの回に解説する)、TFSのサービス・アカウントを変更したりできる。

まとめ

 今回は、TFS 2010の概要とインストールまでを行った。ここまではまだまだ入り口なので、さほど難しいこともなかったのではないだろうか。次回からはいよいよTFSの各機能を使った開発を体験していくことにしよう。End of Article


 INDEX
  [連載]Team Foundation Server 2010入門
  第1回 Team Foundation Server 2010を導入しよう
    1.Team Foundation Server 2010概要
  2.Team Foundation Server 2010のインストールと構成

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