第6回 物流を可視化するEPCISを知る


伊東 英輝
日本オラクル株式会社
システム製品統括本部
Fusion Middleware技術部
RFID&EDAグループ
シニアマネージャー
2007年2月19日


 インターネット技術を応用したEPCネットワーク

 EPCISを検索するための環境も整っています。EPCネットワークはインターネット技術を応用しているので、既存のIT技術との親和性が高く設計されています。インターネットとEPCネットワークを表現したのが下図です。

 DNSはホスト名とIPアドレスをマッピングするサービスです。ONSはEPCとEPCISをマッピングするサービスです。対比すると分かるように、EPCネットワークはインターネットの既存技術にマッピングできます。

インターネット(WWW) EPCネットワーク
名前解決のルート ルートDNS ルートONS
ローカルで持つ名前解決の仕組み ローカルDNS ローカルONS
詳細情報を持つサーバ Webサーバ EPCIS
クライアント Webブラウザ 業務アプリケーション
サービス
識別ID ホスト名 EPC
データ形式 HTML、XHTMLなど XML

 EPCネットワークは、インターネットのDNSに相当するONSがあり、EPCからEPCISのアドレスを特定します。EPCISは、インターネットのWebサーバに相当します。Webブラウザからのリクエストに応じてWebサーバがHTML形式情報を返すように、EPCISはクライアントである業務アプリケーションからのリクエストに応じてXML形式情報を返します。EPCISを特定するための技術的要素はすでにITの世界で使われているのです。

 EPCISの機能

 簡単にいうと、EPCISはEPCを格納するデータベースです。外部に対しては2つのインターフェイスを持ちます。イベントを格納するキャプチャインターフェイスと情報を検索するクエリインターフェイスです。

 EPCIS仕様は内部のデータベース層に関して実装を定義していません。しかし、EPCISは各拠点で感知された大量情報を保存し、かつ、さまざまなクライアントからのアクセスに対して応答する必要があるので、可用性と拡張性の高いデータベースを利用しているベンダやサービスが優位になってくると思われます。

 EPCISのデータ

 感知されたイベントは、XML形式でEPCISに送信されます。イベントには4種類が定義されています。

イベントの種類 目的 特徴
ObjectEvent 感知したイベントの管理 感知したイベントを登録する
AggregationEvent 関連付けの管理 EPCを親子の階層で関連付けできる
QuantityEvent 数量の管理 数量を管理する項目がある
TransactionEvent ビジネスイベント処理の管理 ビジネストランザクションを入力する項目がある
例)注文書(PO)、事前出荷通知(ASN)

 参考までにObjectEventの内容の一部を記載します。下記のようにObjectEventは感知した時間、読み取ったEPC、読み取りポイントと業務内容を示す情報を持ちます。

<ObjectEvent>
 <eventTime>2007-02-03T08:33:31+0900</eventTime>
 <epcList>
  <epc>urn:epc:id:grai:DDDDDD.999999.ORCL8888881</epc>
 </epcList>
 <action>OBSERVE</action>
 <bizStep>urn:epcglobal:tls:bizstep:arrival</bizStep>
 <disposition>urn:epcglobal:tls:disp:in_transit</disposition>
 <readPoint>
  <id>urn:epcglobal:tls:loc:...</id>
 </readPoint>
 <bizLocation>
  <id>urn:epcglobal:tls:loc:...</id>
 </bizLocation>
 <bizTransaction>http://transaction.acme.com/po/12345678
 </bizTransaction>
</ObjectEvent>

 格納されたイベントを検索するにはクエリインターフェイスを使います。クエリもXML形式のデータを送ります。クエリの結果として、該当するEPC情報をXMLで受け取ります。アプリケーションは受け取ったXMLを解析し処理することで参照したいオブジェクトの情報を得ることができます。

<params>
 <param>
  <name>eventType</name>
  <value>ObjectEvent</value>
 </param>
 <param>
  <name>GE_eventTime</name>
  <value>
2007-02-03T08:33:31+0900</value>
 </param>
</params>
クエリの例

<epcis:EPCISDocument xmlns:epcis="urn:epcglobal...>
 <EPCISBody>
  <EventList>...Object Events...</EventList>
 </EPCISBody>
</epcis:EPCISDocument>
リザルトの例

 次回は、EPCISの配置に関する考え方や、目指すべき理想的なアーキテクチャについて解説します。

2/2
 

Index
物流を可視化するEPCISを知る
  Page1
EPCISは感知と通知の基盤
国際物流の課題から考案されたEPCIS
EPCISはすでに利用可能
Page2
インターネット技術を応用したEPCネットワーク
EPCISの機能
EPCISのデータ

Profile
伊東 英輝(いとう ひでき)

日本オラクル株式会社
システム製品統括本部
Fusion Middleware技術部
RFID&EDAグループ
シニアマネージャー

RFID/EPC製品のプロダクトマネージャーを担当。US本社の製品開発プロセスに参画しパートナーと顧客への製品技術支援がミッション。

同社グローバルバーチャル組織「RFID and Sensor Business Team」のメンバーとして、また、同社アジア研究開発センターとの連携により、グローバルの成功事例を国内と海外に展開。EPCglobal Industry Action Groupに参画し国際標準化を推進。

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