第12回 NETMARKとiproute2でトラフィックを完全掌握

面 和毅
サイオステクノロジー株式会社
インフラストラクチャービジネスユニット
Linuxテクノロジー部
OSSテクノロジーグループ
シニアマネージャ
2006/11/21

　syslogdの動作を確認

　LIDS-JPサイトに、今回のsyslogdのシステム環境を「atmarkit_part12.tar.gz」として用意していますので、このファイルをダウンロードして、実際の動作を確認してみましょう。

　atmarkit_part12.tar.gz内には、

  • LIDSが有効になったシステム（sarge_lids_1.2.2）：HOST-ONLY
  • syslogサーバ（syslogserver）：NAT
  • ホストOS（Linuxの場合）をルータとして使用するためのスクリプト（ip_masq.vm.sh）

が同梱されています。

  1. syslogサーバを立ち上げます。ifconfigコマンドで、IPアドレスを調べておきます
図9　syslogサーバのIPアドレスを確認（画像をクリックすると拡大します）
  1. ホストOS用のip_masq.vm.shファイルのIPアドレスを修正します。筆者の環境ではvmnet1（HOST-ONLYの際に使用される）のネットワークが“192.168.164.0/24”なので、このようなシェルスクリプトになりました。これは皆さまの環境のvmnet1を調べて、適切な値に修正してください
lids@hostos:$ /sbin/ifconfig vmnet1
vmnet1 リンク方法:イーサーネット ハードウェアアドレス 00:50:56:C0:00:01
　　　inetアドレス:192.168.164.1 ブロードキャスト:192.168.164.255 マスク:255.255.255.0
　　　UP BROADCAST RUNNING MULTICAST MTU:1500 Metric:1
　　　RX packets:522 errors:0 dropped:0 overruns:0 frame:0
　　　TX packets:859 errors:0 dropped:0 overruns:0 carrier:0
　　　衝突(Collisions):0 TXキュー長:1000
　　　RX bytes:0 (0.0 b) TX bytes:0 (0.0 b)
図10　vmnet1のIPアドレスを確認
  1. ホストOS上でip_masq.vm.shファイルを実行します
  2. LIDSが有効になったシステムを立ち上げます
  3. rootでログインした後、“lidsadm -S -- -LIDS”コマンドでLFSを開きます。以下、6〜9の手順はLFS中で行います
  4. /root/part12以下に、
    ・iproute.sh
    ・iptables.syslogd.sh
    があります。iproute.shファイル中でIPアドレスが「192.168.164.2」「192.168.164.1」となっていますので、それぞれ「vmnet1のネットワークでvmnet1以外のもの」「vmnet1のIP」に変更します
図11　iproute.shの内容（画像をクリックすると拡大します）>
  1. /etc/syslog.conf中でsyslogサーバを指定していますので、これを1で調べたsyslogサーバのIPアドレスに変更します
図12　/etc/syslog.confの内容を修正（画像をクリックすると拡大します）
  1. “/etc/init.d/sysklogd reload”として、syslog.confのパラメータをリロードさせます
図13　syslog.confをリロード（画像をクリックすると拡大します）
  1. iproute.sh、iptables.syslogd.shを実行します。これにより、syslogdのみにルーティングが切られて、syslogサーバにログが飛ぶようになります
  2. LIDSが有効になったシステム上の、LFS以外の端末で“lidsconf -L”として、わざとエラーログを発生させます
  3. syslogサーバにログが出力されることが確認できます
図14　syslogにログが出力されることを確認（画像をクリックすると拡大します）
  1. しかし、LIDSが有効になったシステム上で“ping ［syslogサーバのIP］”としても、syslogサーバのIPに接続することはできません。syslogd以外のプログラムからは、このsyslogdサーバへのルーティングを利用することはできません
図15　syslogd以外ではルーティングが利用できないことを確認（画像をクリックすると拡大します）
  1. LIDSが有効になったシステムを次回以降再起動して使用する場合には、再起動後に、
    　i）LFSを開く。以降はLFS内で行う
    　ii）/root/part12/iproute.shを実行する
    　iii）/root/part12/iptables.syslogd.shを実行する
    　iv）/etc/init.d/sysklogd reloadを実行する
    の手順でコマンドを実行します

　次回は、引続きiproute2を使った実例を見ていきます。

3/3
  

Index
NETMARKとiproute2でトラフィックを完全掌握
  Page1
ルーティングをコントロールするiproute2
iptables／iproute2とLIDSを組み合わせるメリット
  Page2
iproute2で「syslogd以外接続禁止」を実現する
Page3
syslogdの動作を確認


Profile
面 和毅（おも かずき）

サイオステクノロジー株式会社
インフラストラクチャービジネスユニット Linuxテクノロジー部
OSSテクノロジーグループ
シニアマネージャ

　学生時代よりUNIXに親しむ。1997年からサーバ構築およびセキュリティ全般を扱う仕事に従事、Linuxを使い始める。

　現在はLIDSの普及活動に注力。LIDSユーザ会（LIDS-JP）の立ち上げやLIDS関連文書の日本語化、LIDSを用いたシステム構築の紹介などを行っている。また、サイオステクノロジーでビジネス面でのLIDSの普及活動に注力している。

　2005年12月より、LIDS Teamに参加し、LIDSの公式な開発チームの一員として活動している。

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