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IFRS最前線(4)

唯一の逃げ道は上場廃止?
経営者の誤解と課題への対処法

小尾拓也
ダイヤモンド・オンライン
2010/6/10

手間やコストがかかるIFRSの適用から逃れようと、上場廃止を考える企業が今後増えると見られている。だが経営者にとって、それは現実的な方法ではない。IFRSがもたらす将来的なメリットとは?(ダイヤモンド・オンライン記事を転載、初出2010年1月7日)

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流通、外食、不動産業界で
上場廃止が増える可能性も

 では、今後「上場廃止ブーム」が起きそうな業界とは、どこなのか?

  ある公認会計士は、「特に流通、外食、不動産などの業界で上場廃止企業が増える可能性が高い」と分析する。

 デフレの波に呑み込まれ、「安売り合戦」で疲弊し切っているこれらの業界の企業は、土地、大型店舗、ビルなど多くの不動産を抱えている。IFRSの適用で不動産の時価評価が本格化することにより、彼らの資産は今後大きく目減りする恐れがある。

 また、「本社の管理部門にはもともと現場のアルバイトや店長から昇格した人も多く、財務に疎い責任者が他の業界より多い」(公認会計士)という傾向もある。こういった業界特有の事情により、上場廃止ブームが起き易いと考えられるわけだ。

 2000年代前半以降、資金調達を目指すベンチャー企業が上場基準の緩い新興市場へと流れ込んだ結果、空前の「IPO(新規株式公開)ブーム」が起きた。今度は逆に、中小企業が上場廃止を目指すトレンドが広まるかもしれない。

 とはいえ、「非上場企業になれば本当に負担が減るのか」と問われれば、答えはノーである。もしもそう考えている経営者がいるとすれば、「早計」と言わざるを得ない。

 案外知られていないことだが、昨年開催された金融庁の審議会では、「非上場企業へのIFRS任意適用の取り扱い」にも議論が及んでいる。

 そこでは、国際的な財務活動を行なっている上場企業の子会社などは、IFRSに基づく連結財務諸表作成のニーズがあるのではないか」という趣旨が提言された。

 将来、強制適用が取り沙汰される心配こそないとはいえ、社会的影響力が大きい非上場企業が国際基準に則した会計に取り組もうとするニーズが出てくるのは、「むしろ当然」と考えられ始めているのだ。

 必然的に、企業を取り巻く利害関係者の目も厳しさを増すことになる。IFRSを任意適用する場合としない場合とでは、取り引き先やお客に与える「信頼感」は、大きく違ってくるだろう。

 またIFRSの適用は、経営の効率化につながるメリットもある。企業にとって、これまでの会計システムやノウハウを、一から見直すきっかけになるからだ。

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