IBMがLinuxの実行環境を備えた
腕時計の開発に成功したと発表

2000/8/9

 米IBMの研究開発部門 IBMリサーチは現地時間の8月7日、腕時計サイズのデバイス上でLinuxと、そのグラフィックライブラリであるX11を動作させることに成功したと発表した。

 この腕時計では、赤外線とRFのインターフェイスを用いた、PCや携帯電話などの機器とのワイヤレス通信に対応している。これにより、圧縮された電子メールやポケットベルのようなショートメッセージの受信・表示が可能なほか、カレンダー、アドレス帳、To Doリストといった機能を備えており、小型のPDAとして利用が可能。また同社では、将来的に高解像度の画面表示やアプリケーションの追加で、気象情報、交通情報、株価、スポーツといった、インターネット上の最新ニュースにアクセスするような使い方も想定している。

 本体には、小型デバイス向けプロセッサ(詳細は不明)、8MBのフラッシュメモリおよびDRAMを搭載し、ユーザーインターフェイスにタッチスクリーンとローラーホイールを組み合わせて使用する。

 小型デバイスでLinuxを採用するメリットとして、オープンソースとして流通している各種ソースコードの利用や開発環境が用意されていることなど、各種アプリケーションの開発が容易な点があげられる。プラットホームの裾野を広げるという意味で、比較的小型化の容易な独自プラットホームではなく、あえてLinuxを採用した点が評価されるポイントだろう。

 今回の製品の開発にあたっては、日本IBM東京基礎研究所がハードウェアのアーキテクチャーとシステム設計を、日本IBMデザイン部門が工業デザインをそれぞれ担当。日本IBM野洲事業所で基板の製造を行った。また、米IBMのワトソン研究所では、Linuxの移植及びドライバー類の開発、ユーザーインターフェイスおよびPIMアプリケーションの開発といったソフトウェア全般を担当している。

OS
Linux 2.2+X11 R6
サイズ(時計部分)
56mm(W)×48mm(D)×12.25mm(H)
サイズ(M/B)
27.5mm(W)×35.3mm(D)
重量
44g(約1.5オンス)
バッテリ
リチャージャブル・リチウムポリマーバッテリー

[関連リンク]
IBM発表のプレスリリース(日本語)

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