Linuxにスポットを当てたSunとCobaltの合併

2000/9/21
(09/19/00, 4:19 p.m ET) By Barbara Darrow and Mark Hachman,TechWeb News

 LinuxアプライアンスベンダーのCobalt Networks買収という、Sun Microsystemsの思いがけない行動は技術コミュニティを驚かせた。

 Sun Microsystemsの社長兼COOであるEd Zander氏は、今回の20億ドル相当の株式による取引は、同社がローエンドのサーバアプライアンスのマーケットシェアを構築するのに最高の方法だと表現したが、観測筋の大半はの興味はLinuxに集中した。Cobalt Networksのアプライアンスはすべて、SunのOS、Solarisの正当なライバルだとされるLinux OSで動作するからだ。

見え隠れするLinux

 IDCでシステムソフトウェアのリサーチマネジャーを務めるAl Gillen氏は、「今回の件で非常に奇妙なのは、(買収を発表するプレスリリースに)Linuxという言葉が一度も出てこないことだ。現時点で言えることは、Sunはアプライアンス市場でビジネスを構築しようとしているが、まだ十分な影響力を持っていないということだ」と語った。

 Sunの経営陣はGillen氏の評価に同意する。インタビューの中で、今回の買収は開発か買収のどちらかを選ぶ判断だったのか、と聞かれたSunのネットワークサービスプロバイダー事業部担当執行副社長のJohn McFarlane氏の回答は、「基本的にはそうだ」というものだった。

 「社内にもある程度の技術はあるが、製品化に要する時間と(Cobaltの)世界レベルのチームを組み合わせることと、この新しいセグメントに素早く参入することが問題だった」(McFarlane氏)

 「われわれはローエンドに参入できるだろうか?たぶんできるだろう。時間はどのくらいかかるだろうか?かなりかかるかもしれない」(Zander氏)

Sun史上最大の買収

 この買収は、一般的に買収によって成長することのなかったSunにとってはこれまでで最大のものの1つとなる。ただしSunは、数年前にSilicon Graphicsからスーパーコンピューティング技術を取得し、これを使ってハイエンドのStarfireコンピュータを成功に導いた経緯もある。

 この買収は、2000年12月31日決算となるSunの2001年度の第2四半期中に完了する予定。Sunによると、この取引は同社の下半期の会計年度において支払利息、税、償却、および償還差し引き前の利益を拡大することになるという。Cobaltは合併の完了を受け、Sunのネットワークサービスプロバイダー組織に属するサーバアプライアンス事業部となり、McFarlane氏の支配下となる。

 Bear Stearnsの専務取締役、Andy Neff氏は、「これは重要なことだが、私にとってはもっとほかに重要なことがある。だれもが大局を見ずに、細かい部分だけにフォーカスしたEMCによるData General買収が思い出される。今回の大局は、Sunがローエンドサーバ市場に参入するということだ」と語った。

 Goldman Sachsのアナリスト、Laura Conigliaro氏も、9月19日に公表したレポートの中で、今回の買収を「Sunにとって全く新しい行動」だとした。

 今回の合併は2つの外見上異なるOSを組み合わせるが、経営陣はこれを懸念していないようだった。Linuxについて聞かれたZander氏は、「Linuxを最前面に出して」軽い気持ちで買収を行ったのではないとしたものの、SunがLinuxに反対しているわけではない、とも強調した。

 「われわれの力だけで開発できないということはない。昨年は30%以上成長しており、ハイエンドやミッドレンジサーバ、サービス、そしてソフトウェアでやらなければならないことがかなり多くある」(Zander氏)

LinuxとAMDチップを採用するCobalt製サーバ

 Sunは自社のサーバ製品ラインを使ってSolaris OSとUltraSparcマイクロプロセッサを売り込んでいるが、このハードウェアとソフトウェアの組み合わせはCobaltにとってそれほど重要ではない。だがCobaltは、同社のQubeサーバアプライアンスとRaqサーバのOSにLinuxを導入・運用している。

 Cobaltの社長兼CEO、Stephen DeWitt氏は、「われわれはLinuxでリードしているのではなく、優れたネットワーク運用手段を提供することでリードしている」と語った。

 DeWitt氏によると、Cobaltは「決して処理スピードで購入判断を下さない」という。つまり、チップのパフォーマンスはコスト、熱、そしてスケーラビリティといった特性の次に来るのだ。  

 CobaltのRaqサーバはAdvanced Micro Devices(AMD)のチップを採用している。同社は先日、QubeでのQuantum Effect DevicesのMIPSチップの採用を中止し、このハードでは代用としてAMDの組み込みプロセッサも検討中だ。SunのMcFarlane氏はさらに、SunのSparcチームは第4四半期の合併完了後に「Stephenにも問い合わせをするかもしれない」が、Solaris OSとCobaltのLinux OSが適切に連動することを確認するのが最優先事項だともしている。

 Cobaltサーバは必ずしも市場で最も低価格のLinuxサーバではないが、コンフィギュレーションと運用が非常に簡単なことで知られている。

 あるデベロッパーは、「これを数百台ラックに設置しても短時間で準備を終えて運用を開始することができる」と語っている。

 McFarlane氏によると、CobaltサーバはSunのローエンドであるNetraサーバを補完することになるという。

Solarisを持つSunのLinux化か?

 調査会社のDataquestは、サーバアプライアンスが2003年までに150億ドル市場になると予測するが、アナリストやライバルはCobaltが昨年の11月に1株150ドルで株式公開して以来3四半期連続で損失を計上していることに言及した。それでも先週の木曜日には、投資家が株価を57ドル3/16へと300%以上競り上げている。

 Linuxハードウェアベンダー、Penguin ComputingのCEO、Sam Ockman氏は、「Cobaltは、これがサーバ市場の最後尾から抜け出す方法だと考えたし、Sunにも、これで他社がしばらく先行していたアプライアンス戦略に追いつき、準備を整えられるメリットがある」と語った。

 Zander氏によると、Sunは自社のJava Development Kitなどの取り組みで既にLinuxをサポートしているという。だがSunは、ハードウェアのライバルであるIBMやHewlett-Packard(HP)と異なり、主流ハードウェア製品では完全にはLinuxに対応していなかった。

 「われわれは、StarOfficeやiPlanetでLinuxやオープンソースに積極的に対応してきた。われわれは他社のように全面的にLinuxに移行することを望んでいないだけだ。われわれにはSolarisという世界最高のOSがあるからだ」(Zander氏)

 オープンソースの世界には、LinuxがSunの真の戦略ではないかと考える懐疑論者がいる。  The Open Source Initiativeの会長、Eric S Raymund氏は、「これはSunがLinux化を進める隠密作戦の1つにすぎない」と語った。

 しかし複数の観測筋によると、今回の買収は、Sunを疑いのまなざしで見ているオープンソースコミュニティとの協調を失わせるかもしれない。

 IDCのアナリスト、Dan Kusnetzky氏は、「これから先、Sunがもしオープンソースと友好な関係を持ちたくても、そうなる機会を失った」と語った。

 CobaltのライバルであるVA Linux Systemsでマーケティング担当副社長を務めるBrian Biles氏は、「Cobalt関係者は称賛に値する。彼らは適切なタイミングに適切な価格で売り抜けたのだ」と語った。

 Biles氏は、アプライアンスタイプのデバイスでは、ユーザーは基盤のOSを意識することがない、とするSunの言う魅力から話題を1つ取り出した。

 「(Cobaltは)実際には中身ではなく箱を売っている。Sunに買収されたらおそらくSparc/Solarisを採用するだろう」(Biles氏)

 一部には、Linuxの大手を含むドット・コム企業の全盛期は過ぎたとの声もある。

 Oracleでeマーケティングディレクターを務めるDom Lindars氏は、「Linux市場は岐路にさしかかっている。今後さらに整理統合が進むのは確実だ。Sunについては、時間が経てば分かるだろう。Linuxを使用するITマネジャーや企業は、従来のベンダー各社から得られるようなレベルのサービスが必要なので、SunがLinuxのような運動をサポートするのは良いことだ」と語った。

[英文記事]
Sun, Cobalt Deal Puts Linux In Spotlight

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