IBMが900万画素以上の22型液晶ディスプレイを開発

2000/11/11

 IBMは、XGA(1024×768=78万6432画素)の約12倍に相当する921万画素(3840×2400=921万6000画素)を実現したコンピュータ用液晶ディスプレイを開発した。

 日本IBMの大和事業所とワトソン研究所が1995年から研究していたもので、液晶セル(液晶分子や電極などで構成される素子)はディスプレイ・テクノロジー株式会社(DTI)の野洲工場で製造され、液晶モジュール(液晶セルその他の部材で構成されたもの)は大和事業所が開発。IBMが1998年に試作品を発表した当時は、少なくとも2010年までは大量生産できないと予想されていた。

 同ディスプレイは縦横比10:16のワイド型で、1インチ(2.54センチ)あたり202画素(ピクセル)。22型で921万画素を実現しており、これは同サイズの現行のHDTV(ハイビジョンテレビ)より約4.5倍精細な表示となる。

 このディスプレイの製造に使われている技術の1つにODF(One Drop Fill)がある。従来はあらかじめ張り合わせておいたガラスの端の注入孔から液晶材を注入していた。ODFではガラスを貼り合わせる前に下側のガラスに液晶材をたらし(drop)、そのあとで上側のガラスをかぶせて一気に貼り合わせる。これにより製造工程の削減やガラスの間隔(セル・ギャップ)の縮小が可能となる。なお、セル・ギャップの縮小は液晶の応答時間を短縮する効果がある。

 一般への製品出荷は2001年の予定だが、米国エネルギー省のローレンス・リバモア国立研究所にはすでに納入されており、核実験シミュレーションの3次元モデル研究に使用されるという。同研究所には2001年までにさらに10台程度のディスプレイが納入される予定。

 なお、同社によると同ディスプレイに使われている特許技術をほかのディスプレイメーカにライセンス供与する計画もあるという。

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IBMニュースリリース

 

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