「コンピューティングは.NETとSun ONEに収れんされた」とマクニーリ

2002/3/8

 WebサービスによりIT業界は新たな局面を迎えることになるが、米サン・マイクロシステムズはここでも.NETを掲げるマイクロソフトに正面を切って対抗する。ドットコムの崩壊の影響を大きく受け、同社の財務状況は必ずしも楽観視できないが、3月7日、来日中の同社会長兼CEO スコット・マクニーリ(Scott McNealy)氏は相変わらずの毒舌で“サン健在”を強調した。

マクニーリ氏。サンは20周年にあたり、キャッチも一新。新キャッチの“We make the net work”では、ネットワーク社会をサポートする同社のコミットの意を込めたという

 サン・マイクロシステムズは今年、20周年を迎えた。“The Network Is The Computer”というビジョンを掲げたスタンフォード大学の学生ベンチャーは、Javaなどに代表される技術を生み出し、いまや4万人近くの従業員を擁する一大企業に成長した。

 インターネットの浸透とともに順調に成長曲線を描いてきた同社だが、ドットコム企業を多く顧客に抱えていた。そのため、一昨年のインターネットバブル崩壊のあおりをうけ、いまだに完全に回復したとはいえない厳しい状況が続いている。この日、マクニーリ氏はそういった声を予想してか、財務状況の健全性からスピーチに入った。

 「景気には大いに不満だが、サンの市場でのポジションには満足している。こんなに経済環境が厳しい昨今、キャッシュはキング(王)だ。わが社は6億ドルのキャッシュを持っており、健全な財務状況といえる」(マクニーリ氏)。同社が1月に発表した会計年度2002年第2四半期の業績結果では、売上高は31億800万ドル、前四半期に比べ9%の増収となったものの、前年同期と比べると約40%の減少となっている。

■統合可能なサンと統合済みのMS

相変わらず軽快な口調のマクニーリ氏。ジョークを飛ばすタイミングは絶妙

 マクニーリ氏は、現在のコンピューティングは2つのアーキテクチャに収れんされたと述べる。2つとは、同社の提唱する「Sun ONE(Sun Open Net Environment)」と宿敵マイクロソフトの提唱する「.NET」だ。「Sun ONEは、オープン・インターフェイスで、.NETはクローズドでプロプライエタリなインターフェイス。Sun ONEは、64ビットで、.NETは32ビット」と両アーキテクチャに対し次々と対応する言葉を並べる。「Sun ONEは、セキュリティ機能を付加し、.NETはウイルスを付加する。Sun ONEは、シェア(共有)のための技術で、.NETはスティール(盗む)ための技術。Sun ONEでは開発コミュニティを作れるが、.NETは独自コミュニティはハイジャックされる」(笑)。

 最後に、「Sun ONEは、統合可能(integratable)で、.NETは統合済み(integrated)」と述べ、SunONEの強みは“ベスト・オブ・ブリード”のシステムを構築できるオープン性とした。

■統合可能なサンと統合不可能なIBM

 サンにとって、マイクロソフトが開発分野での宿敵とすると、エンタープライズでの宿敵も存在する。巨人、IBMだ。「“ベスト・オブ・ブリード”では、SI事業者、ISP、製品などの自由な組み合わせを実現する。IBMは、システム構築に自由度はない、統合不可能(unintegratable)だ」(マクニーリ氏)。多くの企業が試練を迎えている中、“一人勝ち”と形容されるほどIBMの強さが浮き彫りになっているが、それについても、「景気全体が下向いているのに対して、IBMはフラットに推移しているだけ」とコメント。さらに、「同社を支えているのはサービス部門。サービス部門が成長していて、全体がフラット。単純な算数をすると、これは同社のハードウェアが落ちているということなんじゃないのか」と一笑した。

■Linuxはコンポーネント

マクニーリ氏の示したBWTSの概念図

 同社は今年に入り、初めて正式にLinuxに注力すると発表した。これまで堅守してきた、SPARCプロセッサ×Solarisという戦略を変更することになるのか。

 「戦略は何ら変更していない。ソフトウェア開発者はあくまでもSunONEに対してプログラムを書くのであって、作成されたプログラムはどのハードウェア、ソフトウェア上でも動作する」(マクニーリ氏)。そして、“BWTS(Big WebTone Switch)”と呼ばれる機器の中に、垂直型コンピューティング(V)、水平型コンピューティング(H)、ストレージ(S)の3つをSunONEとN1ではさんだ図を描いた(左写真参照)。Linuxは、可用性を実現する水平型コンピューティングに用いられる技術の一部に過ぎず、すでにLinuxベースのCobaltを提供してきたと語る。「携帯電話のOSを知りたいと思うか? STBのOSは何か知りたいと思うか? Linuxは、ディスクドライブシステムのDRAMのようなもので、一コンポーネントに過ぎない」(マクニーリ氏)。

 なお、このモデルに関しては、ベースのN1について言及した。これは、バーチャリゼーション技術を持つ新しいソフトウェア・アーキテクチャで、システムの一元管理を実現するものとなるという。「モニタリングやプロビジョニング、課金、サービスレベル設定、QoSなど、システム管理者は1つのパネルで管理できようになる」(マクニーリ氏)。

 同社は今後も、R&Dへの投資を積極的に行っていくという。「年間20億ドルは確保したいと思っている。サンはプロダクト・カンパニーだ。(IBMのように)リサーチではなく、着実に開発して製品に実装するのがサンの方法だ」と述べ、20年前の創業時のイノベーション精神はいまだに強く宿っていることを印象付けた。

(編集局 末岡洋子)

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サン・マイクロシステムズ

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