納期遅れ・コスト超過・バグ多発の開発を改善するには?

2002/6/26

 ソフトウェア開発における品質評価への注目が高まっている。現在、それを測定する手法として代表的なものにCMMがあるが、この分野で先行している米国でも、ソフトウェア開発企業の70%以上が5段階評価のうちの下から2つ、レベル1か2に当てはまるという。「日本は5〜6年遅れ」(ビジネスオブジェクト推進協議会 理事 林衛氏)という日本では、その比率はさらに増すだろう。

「AllFusion Process Management Suite 9.02」

 コンピュータ・アソシエイツはこの分野における製品「AllFusion Process Management Suite 9.02」(旧製品名:「Process Continuum」)を発表した。日本でもCMMへの関心が高まってきたことから、今回初めて、日本語版を提供することになる。

 CMMが注目される理由は、顧客側のメリットだけではない。CMM(Capability Maturity Model)が表す“ソフトウェア開発の成熟度”という言葉どおり、ソフトウェア開発事業者にとって、プロセスを定義し反復することにより、バグの減少、プロジェクトサイクルの短縮化、さらにはコスト削減といったメリットをもたらす。「レベル1から2に移行するとバグは50%削減、プロジェクトサイクルは30%短縮できる」とコンピュータ・アソシエイツ プロダクトマーケティング ビジネスマネージャー 末吉聡子氏はいう。

コンピュータ・アソシエイツの末吉聡子氏 工数の見積もり精度の低いアプリケーション開発の実情を改善することにより、コストを4分の1削減できる(レベル1と2を比較)という

 新製品はアプリケーション開発におけるプロセスおよびプロジェクト管理のツールで、今回、開発のライフサイクル管理ポータルと合わせてスイートとして提供される。

 製品は「AllFusion Process Engineer」「AllFusion Process Library&Web Process Library」「AllFusion Project Engineer」「AllFusion Project Planner」「AllFusion Project Timesheet」「AllFusion Project Office Console」「AllFusion Advisor」の7つのモジュールにより構成され、プロセスを定義→ベストプラクティスのライブラリを活用してプロジェクトのカスタマイズ→スケジュールおよびプロジェクトの管理→実績の収集→メイン・データベースの更新、と一連のサイクルをカバーする。また、ポータル機能を持つAdvisorにより、プロジェクトマネージャや経営者層など役割に応じた閲覧も可能だ。

 同社によると、これらのプロセスをまわすことにより、ベストプラクティスの収集・集積、活用が可能となるだけでなく、サイクルの短縮化、バグの削減、といった効率の良いアプリケーション開発の実現をサポートできるという。

 特徴は、再利用が可能なベストプラクティスを格納するプロセスライブラリ。今回このライブラリを通し、160のプロセス、96のテクニック、190の成果物を提供する。常時改善されるため、最新のものを使えるという。また、CMMのレベルに応じたコメント機能もある。

 また、役割に応じた開発ポータルの提供により、物理的に離れたメンバーとプロジェクトを組み、情報共有や進ちょくの報告などを行える。データは一元管理されるため、複数のプロジェクトをまわしながら共通プラクティスの共有化に向けての評価・改善が効率よく行える。

 末吉氏によると、米国では同製品を導入することにより、プロジェクトが計画どおり実施した割合が16%から80%以上に向上したという。

 だが、当然のことではあるが、ツールはあくまでも支援するものでしかない。ビジネスオブジェクト推進協議会では、標準プロセス・ライブラリの開発を進めるにあたり、ライブラリの実装に同ツールを標準採用した。CMMの推進を図る同協議会の林理事(アイ・ティ・イノベーショ 代表取締役社長)は、CMMについて以下のような見解を示す。「ツールの導入(だけ)でソフトウェア開発のプロセスが改善できるわけではない。利用者の意識が前提となる。根本に利用者の(プロセスを改善していこうという)ビジョンとコンセンサスがあり、ツールを利用することが大切」。利用者の意識なしには、いくら良いツールを導入しても、役に立たないことだろう。

 同製品は、Windows 98/2000/NT 4.0に対応する。出荷は7月1日に開始の予定。なお、同社では今年12月末まで、発売記念キャンペーンとして、10名程度の小規模プロジェクトレベルのモジュール構成を100万円で提供する。同社では、昨今のプロセス手法への関心の高まりをとらえ、初年度5億円の売り上げを目指す。そのため、上流コンサルティングでは、インドのCMM特化コンサルタントであるサティアム・コンピュータの日本法人と、プロジェクト管理技法の設計や規格では、アイ・ティ・イノベーションやヘッドストロングジャパンといった企業と提携し、積極的に展開していく。セミナーなどの啓蒙活動も行う予定だ。

(編集局 末岡洋子)

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