[Microsoft Tech・Ed 2002 Yokohama]
.NETは次なるフェイズへ、開発者獲得に乗り出すマイクロソフト

2002/7/4

 マイクロソフトは7月3日、横浜においてデベロッパ・カンファレンス「Microsoft Tech・Ed 2002 Yokohama」を開催した。8回目の今年は、同社の次なるビジョンである.NETを現実のソリューションとして紹介することが主なテーマといえるだろう。3日間で84のセッションが用意されており、3000人の来場者を見込んでいる。

マイクロソフト 代表取締役社長 阿多親市氏

 基調講演で同社 代表取締役社長 阿多親市氏は、.NETを推進するための開発者やパートナーへのさらなるコミットを表明した。

 冒頭で阿多氏は、昨年の同カンファレンスで同氏が努力目標に掲げた“安心できるコンピューティング”についての取り組みを報告した。具体的には、1.セキュリティの確保と、2.ミッション・クリティカル領域で同社の技術が使えることの実証、の2つに分けて取り組みを進めてきたという同氏は、その進ちょくについて以下のようにまとめた。

 「セキュリティは、今年2月に発表した“Trustworthy Computing”の下に、開発作業を中断して見直しを行った。実現にまだ時間を要するが、挑戦を続けていきたい」(阿多氏)。後者のミッション・クリティカルでの実証については、Windows Datacenter Serverプログラムの下に、ハードウェアベンダと信頼性向上を図っているという。すでに三井住友銀行で導入されるなど成果も出てきているようだ。阿多氏は「基盤技術、事例がそろってきた」とまとめ、「次は、(その上で動く)アプリケーションを開発していただきたい」と来場者にアピールした。

 「VisualStudio .NET」をこの3月に発売開始し、.NETの成功を占う年となる今年のテーマは、開発者への支援活動の強化。納期の短期化やコスト削減など、相変わらず開発者を取り巻く環境は厳しいといえるが、同社は開発者に対し、学習環境の提供をより体系的に行っていくという。これまでMSDNで提供してきたテキストベースでの技術情報提供やイベントなどに加え、今後はストリーミング技術などを用いたオンライン・トレーニングも提供する。また、コミュニティ活動も積極的に支援し、「VB.NETへの移行を促進していきたい」という。

 もう1つの支援活動は、パートナー向けだ。この日、同社はパートナー向けの新プログラム「.NET Partner Program for ISV」を発表した。このプログラムは、企画、開発、告知、そして販売とフェイズに分けたサポートを行うもので、キーとなるプラットフォーム製品が出そろいつつある同社にとって、成功のカギを共に握っているパートナーに託す思いの強さを感じさせる。「来年のTech・Edでは100以上の製品やソリューションを紹介したい」と阿多氏は意気込みを見せた。

米マイクロソフト .NET Platform Strategy ディレクター Bruce Burns氏 「相互接続性がキー」

 阿多氏に続いて登場した米マイクロソフト .NET Platform Strategy ディレクターのBruce Burns氏は、Webサービス関連における同社の活動などを紹介した。

 2000年にIBMと共同でWebサービスのコンセプトを発表して以来、技術面で主導的立場にある同社は現在、Webサービスの相互運用性を検証する団体Web Services Interoperability Organization(WSI)を他社と共同設立したり、認証・承認などのセキュリティ面で、IBMとベリサインとともに新しい仕様「WS-Security」を発表するなど、積極的にプロトコルの提案や策定を行っている。

 その1例となるのが、同社が6月に発表した新技術“TrustBridge”だ。WS-Securityを実装した同技術は、「Active Directory」を用いたシステム間でのユーザー識別情報が共有できるというもの。単一のIDで複数のアプリケーションへのログインが実現する。プロトコルにはSOAPを用いている。このIDはPassport、Active Directoryのほか、Kerberos対応OS上で動くほかのIDシステムでも利用できる。

 講演の途中では、パートナーである沖電気工業の金融ソリューションカンパニー 金融ソリューション開発本部 本部長 川上英氏が登場し、.NETのWebサービスとJ2EE技術を用いたWebサービス(ヒューレット・パッカードの「hp Application Server」およびBEAシステムズの「BEA WebLogic Server」上に構築したもの)をポータルに組み込んだ旅行サイトを動かすデモを行った。デモを行った担当者は、「Webサービスに期待を寄せている」と述べ、その適用領域として、当面は、企業内でのアプリケーション統合やBtoBなどを想定しているとした。

 初日の会場の様子からは、開発者やパートナーに落ち着いて.NET技術を見てもらおうという同社の姿勢がうかがえた。セッションも、VS .NETや「Windows .NET Server」製品群を用いて何ができるのかにフォーカスしたものが多く、今回のカンファレンスでマイクロソフトの次なる狙いは、支持者の獲得に絞られたといえそうだ。

(編集局 末岡洋子)

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