古いビルでもテレビの同軸ケーブルでネット接続、関電工

2002/8/22

 関電工、電気設備の三和エンジニアリング、ITコンサルタントのネットハンズの3社は8月21日、オフィスビルやマンション内のテレビの同軸ケーブルを使った通信システム「コロンブスLAN」の販売事業で提携したと発表した。築年数の古いオフィスビルやマンションでもLAN工事をすることなく、インターネット環境を簡単に導入できるシステムで、ホテルや病院など大規模な工事が難しい施設にメリットがありそうだ。

コロンブスLANのシステム構成図。テレビ放送の同軸ケーブルを使い、ネットに接続させる仕組み (クリックすると拡大します)

 新システムを開発した関電工によると、同社は新たにLANケーブルの敷設が難しいような古いオフィスビルやマンションでもテレビ放送用の同軸ケーブルが各部屋まで来ていることに注目し、部屋のアンテナジャックと関電工が開発した端末モデムを接続することで、インターネットを利用できるようにしたという。この方法だと工事がほとんど不要なため、営業を止めることができないホテルや病院でのネット接続にも適しているとする。

 オフィスビルに引き込む通信回線は、光ファイバーやADSL、CATVなどに対応している。引き込み線をセンターモデムに接続し、センターモデムと同軸ケーブルを接続する仕組み。すでに敷設されているテレビ放送用の同軸ケーブルを使うため、工事費用を抑えることができる。導入コストは50部屋程度で利用する場合で、300〜350万円程度という。

 センターモデムは端末モデムを最大512台まで接続して使うことができる。通信速度は上りが最大10Mbps、下りが最大40Mbps。同軸ケーブルでつながったパソコン同士でファイルを共有したり、逆にお互いのパソコンを見えなくすることも可能。テレビ放送とLANのデータ転送は異なる周波数帯を使うため、テレビも同時に視聴できる。

ネットハンズの徳田ひとみ代表取締役社長。ネットハンズの営業ネットワークを使い、全国で売り込むという

 同システムは、関電工が販売を、三和エンジニアリングが工事やメンテナンスを担当。ネットハンズは、関電工の販売代理店として全国のオフィスビルやマンションにシステムを売り込む。

 関電工 ネットワークソリューション本部営業第二部長 夏目達彦氏は、新システムについて「新たに工事が難しい既設の建物のブロードバンド化に最適なシステム。ほとんど工事をせずに高速回線が利用できるようになる」と特徴を説明した。ネットハンズ 代表取締役社長 徳田ひとみ氏は、大量の大型ビルが完成することで、2003年に東京のオフィスビルが供給過剰になるという「2003年問題」を前に、「インターネット接続を可能にして、オフィスビルの付加価値を高めるシステム」と導入メリットを強調した。3社は2003年3月までに全国で400棟の受注、売り上げ15億円を目指すという。

 各部屋に既設されていながら、テレビ放送にしか利用されてこなかった同軸ケーブル。“コロンブスの卵”的発想で生まれた新システムはLAN設備の主流となるか、注目したい。

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関電工
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