“金杉日本電気”、3月に船出

2003/1/21

左から、NEC代表取締役社長 西垣浩司氏、代表取締役会長 佐々木元氏、取締役 NECソリューションズ カンパニー社長 金杉明信氏

 NECは1月20日、都内で記者会見を開き、3月28日付けで、取締役 NECソリューションズ カンパニー社長 金杉明信氏が代表取締役社長に就任すると発表した。現代表取締役社長の西垣浩司氏は、代表取締役副会長に就く。

 西垣氏がNEC社長に就任したのが1999年3月26日。社長在任2期4年を同社の経営改革に注ぎ込んだ。任期中最大の決断として、西垣氏は半導体事業の分社化を挙げ、「NECグループが目指す経営のあり方を象徴している」(西垣氏)と、NECが目指すグループ経営の姿を自身の手で示したことに自信を見せた。

 これまで、NECグループ内で、代表取締役副会長なるポストがなかったわけではないが、今回西垣氏は社長職を退きながらも、佐々木会長、金杉新社長の中間に位置するポストで改めて経営に携わっていく。佐々木元会長が、株主総会議長、取締役会議長などの「対外任務」を主とし、副会長の西垣氏は、NECグループ全体の舵(かじ)を取る役割を担うことになる。金杉新社長は、具体的な業務執行のトップとなるわけだが、一見すると2人の将をいただく組織が出来上がる印象をぬぐえない。

 副会長ポストの定義について、佐々木氏は「分社化、カンパニー制はグループ経営を推進するうえで、さらに重要な施策となっていく。グループ全体のガバナンスを見るポストが必要な時代となった」と説明する。

 金杉氏の社長「抜てき」は、西垣氏の勧めによるもの。「(金杉氏は)わたしと違って人使いがうまい。NECソリューションズのかじ取りをほぼ完璧にこなす逸材だ。理系出身だが、カリフォルニア州立大学で経営修士を取得しており、技術とビジネスの両方をバランスよく理解する人材」とほめちぎった。2002年年末には、仮定の話として、西垣氏より金杉氏に社長就任の話が伝わったが、金杉氏は「わたしが適任だとは必ずしも思わなかった」と謙そんする姿を見せた。

 関本元相談役とのゴタゴタや子会社シンシアを巡る総会屋とのつながり疑惑など、西垣現社長が副会長に退く背景を推測する“ネタ”が転がっていることは事実だが、今回の役員人事がどこまで、同社を巡る灰色の噂と関係するものなのかは判然としない。

 だが、金杉氏が社長就任の抱負として「グローバルなソリューション・ビジネスを展開していきたい。ネットワークとITソリューションの融合が今後の鍵」と掲げ、西垣改革をさらに推進する前向きな意欲を見せていることは確かである。「今はまだ、経営改革の方向性が見えた段階に過ぎない」(西垣)という現状認識は正しい。改革第2章を推進する金杉氏の手腕が問われる。

 なお、金杉氏社長就任で、空席となったNECソリューションズだが、NECネットワークスとの融合も視野に入れた施策が検討されている。

(編集局 谷古宇浩司)

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