イー・モバイル、事業立ち上げ前に3500億円を調達

2006/4/6

 イー・アクセスは4月5日、同社の子会社であり携帯電話事業へ新規参入を目指しているイー・モバイルが株式および借入枠で3500億円の事業資金を確保し、モバイル事業で必要な資金の調達を完了したと発表した。イー・アクセス 代表取締役会長兼CEO 千本倖生氏は、「事業開始前の企業がこれだけの資金調達を行うのは日本では初めてだ。日本の金融機関においても画期的な日になった。日本の金融も世界レベルに追いついたといえるだろう」とコメントした。

 今回の資金調達では、株式によるものが累計1300億円、借り入れで総額2200億円を確保し、合計3500億円を調達した。この資金を基に、今後日本全国にゼロからネットワーク施設を構築していく予定だ。すでに設備はエリクソンのコア・ネットワーク設備と基地局設備を採用をすると発表している。

左から、三菱東京UFJ銀行 副頭取 金成憲道氏、JPモルガン・チェース銀行 マネジング・ディレクター 岡村宏太郎氏、みずほ銀行 取締役頭取 杉山清次氏、イー・アクセス 代表取締役会長兼CEO 千本倖生氏、イー・アクセス 代表取締役社長兼COO 種野晴夫氏、イー・アクセス 代表取締役副社長兼CFO エリック・ガン氏

 第三者割当増資は、今回イー・アクセスが60億円、三井物産が50億円、米ゴールドマン・サックス・グループが49億3000万円、そのほかヨドバシカメラやコジマ、ビックカメラなどが121億5000万円出資し、合計約280億円を調達した。これにより、イー・モバイルの資本金と資本準備金の合計が1159億3000万円となった。また、2006年6月にも約140億円の追加増資にもめどがつき、累計1300億円の資本金・資本準備金を事実上確保したという。これにより、イー・アクセスのイー・モバイルに対する株式の持ち株比率は45〜51%の範囲内になる予定だ。

 借り入れでは、総額2200億円とする借入枠(コミットメントライン)の設定を引受幹事銀行団と合意。借入期間は最長7年間であり、千本会長は「1年などの短期ではなく、7年間という長期にわたって、これだけ巨額の借り入れができることは光栄の極み。引受銀行は、イー・モバイルが長期的にパートナーシップを結びたい銀行を選んだ」とコメントした。

 事業開始前に3500億円の資金調達を達成した点について、千本氏は「これで大きな3つのマイルストーンが整った。携帯電話事業で大きな販売パートナーとなる大手家電量販店のヨドバシカメラやビックカメラなどが出資したのは、通信事業者では初めてだ。また、当初予定より多くの出資が集まったことからも期待の大きさが伺える。今後、この資金を基にゼロからネットワークを構築し、事業を進めていきたい」と語った。また、会見に出席したみずほ銀行 取締役頭取 杉山清次氏は、「これだけ大規模な資金調達を実現できたのは、日本のブロードバンド市場を切り開いたイー・アクセスの通信分野における実績と、経営手腕が評価されたからだ。今度は携帯電話市場を切り開いていってほしい」とコメントした。

(@IT 大津心)

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