日本オラクルが過去最高の好決算、売上高1000億円を視野に

2006/7/7

 日本オラクルが7月6日発表した2006年5月期(2005年6月から2006年5月)決算は売上高、営業利益とも2ケタの増加で、過去最高となった。同社 代表取締役社長 最高経営責任者の新宅正明氏は、ライセンス売り上げの増加が全体のビジネスを押し上げたことを説明。米本社の買収戦略で取り扱い製品が増えた今期は、さらなるライセンス売り上げの増加を見込み、売上高1000億円を目指すとした。

 売上高は前期比10%増の915億6400万円。営業利益は11.9%増の321億2600万円だった。営業利益率は0.6ポイント改善し、35.1%。経常利益は322億600万円で、経常利益率は0.6ポイント増の35.2%だった。いずれも期初の予想を上回った。ライセンス売り上げは9.5%の増加。常務執行役員 最高財務責任者の 松岡繁氏は「ソフトウェア・ライセンスの売り上げが伸びたことで、サポート収益増加の基盤となり、さらに周辺にビジネスが広がった」と説明した。

日本オラクルの代表取締役社長 最高経営責任者 新宅正明氏

 「Oracle Database」と「Oracle Fusion Middleware」のライセンス売り上げは前期比8.3%の増加。前期に本格参入したFusion Middlewareのライセンス売り上げだけを見ると42.6%の増加で、新宅氏は「初年度としてはまずまず」と評価した。Oracle Databaseは大型案件数の増加やOracle Real Application Clustersの好調(前期比37.6%増)が、売り上げを押し上げた。

 ERPパッケージの「Oracle E-Business Suite」のライセンス売り上げは、大型案件増加や、テンプレートを拡充した中堅市場での導入が進み、25.9%の増加だった。アップデート&サポートや、Oracle On Demandのアドバンスト・サポートは過去最高の売り上げを記録。特にOracle On Demandの売り上げは前期比287.3%の大幅増になった。コンサルティングの売り上げは15.8%増だった。

 今期は製品のクロスライセンス契約を結んだ日本オラクルインフォメーションシステムズ(OIS、旧日本ピープルソフト、旧日本シーベル)との協業を進めて、アプリケーション事業の大幅増収を見込む。今期はアプリケーション事業で45億円の売り上げ(36.6%増)を目指すが、うち10〜15%がOISから調達する「PeopleSoft」や「Siebel」製品のライセンス収入になる見込み。

 新宅氏は「PeopleSoftやSiebelの顧客は半分以上がIBMのデータベースを使っているケースもある。これからの新規顧客ではこれがOracle Databaseになる。またPeopleSoft、Siebelの顧客はミドルウェアのニーズも高い。Fusion Middlewareを提案する」などと話した。「アプリケーションの単体製品だけでなく、データベース、ミドルウェアと全層の効果がある」。OIS以外にも、米本社の買収戦略で日本オラクルが取り扱う製品ラインアップは増えていて、ライセンス収入がさらに膨らむことも考えられる。

 今期の売り上げは10.3%増の1010億円を予想。営業利益、経常利益とも10%以上の成長を目指す。

(@IT 垣内郁栄)

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日本オラクルの発表資料

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