ERP鈍化時代のパートナービジネスは? オラクルが成長戦略

2006/7/20

 日本オラクルでアプリケーション事業のパートナー事業を担当する常務執行役員 アプリケーション事業統括 アライアンス統括本部長 三露正樹氏は7月18日、米本社が買収したSiebel、JD Edwards製品について「今年度、国内で昨年度の3倍の成長を目指す」と述べ、リソースを集中的に投入する考えを示した。Siebel、JD Edwards製品を持つ日本オラクルインフォメーションシステムズ(OIS)と共同のパートナー営業を組織し、大幅増を目指す。

日本オラクルの常務執行役員 アプリケーション事業統括 アライアンス統括本部長 三露正樹氏

 日本オラクルは6月1日、旧日本ピープルソフト、旧日本シーベルが合併したOISとクロスライセンス契約を結び、お互いの製品を扱えるようにした。三露氏は両社の協業について「加えて、人員を出向させられるようになったのが大きい」と話した。オラクルは6月1日付でパートナー営業の組織を再編し、オラクルとOISの混成部隊を組織した。OISが加わることでパートナー担当の営業は従来の2倍に当たる20人強になった。

 オラクルの昨年度のアプリケーション事業は売上高で26%の成長だった。今年度は36%成長が目標。OISを含めた売り上げでは66%増を狙う。その中で特に期待するのがCRMのSiebel、中堅・中小向けERPのJD Edwardsだ。

 オラクルのERP「Oracle E-Business Suite」(EBS)のパートナーは100社強。PeopleSoftは25社、JD Edwardsが25社、Siebelは10数社のパートナーがいるが、1社で複数の製品を扱っているケースが多く、「総数ではパートナー数はそれほど変わらない」(三露氏)という。パートナー営業は既存パートナーに対してこれまで扱っていなかった製品の取り扱いを進めることや、ソリューションの共同開発が中心となる。「Oracle Fusion Middleware」などのシステム製品も組み合わせて「他社のアプリケーションにない価値を創出することに力を入れる」(三露氏)。

 国内ERP市場は大企業へのERP導入が一巡し、大型の案件が少なくなってきているのが実情。三露氏は「案件の規模は小さいが内容は高度化している。パートナーの得意分野を認識して、強いエリアで組んでいきたい」と話した。

 システム製品のパートナービジネスは今年度、Oracle Fusion Middlewareと「Oracle Real Application Clusters」(Oracle RAC)に力を入れる。Oracle Databaseなどパートナーになじみのある製品と異なり、「Fusion Middleware、Oracle RACはパートナーの間でまだ市民権を得ていない」(同社 常務執行役員 システム事業統括 アライアンスビジネス統括本部長 前田浩氏)との認識だ。パートナー支援は製品の検証と技術者の育成が中心。特にFusion Middlewareはグリッド、セキュリティなど製品の幅が広いため、検証施設などを使って「先ずは納得してもらうのが重要」(同氏)と考えている。

 日本オラクルは7月19日、パートナー各社を表彰する「Oracle Award 2006」を発表した。最優秀賞は新日鉄ソリューションズが受賞。OISとの協業したことから「PeopleSoft of the Year」「JD Edwards of the Year」「Siebel of the Year」を今年から新たに設けた。PeopleSoftはNTTコムウェア、JD Edwardsは日本IBM、SiebelはCSKシステムズが受賞した。

(@IT 垣内郁栄)

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日本オラクルの発表資料

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