NEC、JBoss対応の業務アプリケーション支援ミドルウェア

2006/9/16

 NECは9月15日、Javaの分散アプリケーション環境で業務アプリケーション運用を支援するミドルウェア「MCOne」のJBoss対応版を発表した。JBossはオープンソースのJavaアプリケーションサーバで、従来より対応への要望が多かったという。

 NECによるとシステムダウンの要因は、40%が「人的な運用操作ミス」、40%が「人的ミスが原因のアプリケーション不具合」、20%が「ハードウェア/OSの不具合」だという。つまり、人的要因が全体80%を占める。このような人的要因を減らすためには管理ツールが有効だが、一般的な管理ツールの場合、システムやOS寄りの管理機能が中心で、そのうえで動くアプリケーションの様子までは管理し切れていなかったという。

 MCOneは、業務用アプリケーションサーバの運用性を高める基盤ミドルウェア。すでにNECのアプリケーションサーバ「WebOTX」と日本BEAシステムズのWebアプリケーションサーバ「WebLogic Server」対応版を提供しており、今回JBoss対応版を追加した形となる。NEC ITプラットフォーム販売推進本部 商品マーケティンググループ ブランドマーケティング・マネージャー 池田秀一氏は、「今回のJBoss対応は、“NECはオープンソースもきちんとサポートする”という意思表示でもある。さまざまな理由でオープンソースを選択している企業も多い。そのような企業もサポートしていく」とJBoss対応版をリリースした背景を語った。

 具体的には、「業務トレース」「アプリケーション配置」「一時停止なしでの更新」の3種類の機能を持つ。業務トレースは、障害発生時に原因解析に必要な情報を収集するための機能。従来のスタックトレースでは、すべての履歴が出力されないために、原因分析のための情報が不足している場合があった。一方、MCOneのトレース機能では、すべての履歴が出力できるほか、引数情報も分かるため、障害原因を詳細に分析することができるという。また、最新版では時間情報も取得するため、障害ではないものの、レスポンスが遅い場合などにこのトレース機能を用いれば、レスポンス低下の原因を調べることができるとした。

 MCOneのケースのようにすべての履歴を出力すると、通常であればパフォーマンスの低下が起こるが、MCOneは通常時は出力せずに、障害発生直前だけ出力するので、この問題も回避できるという。また、MCOneではすでに作成済みのアプリケーション(jarファイルやearファイルなどのJavaアーカイブ)に自動的にトレース機能を組み込むため、すでに稼働しているシステムに対して、後から業務トレース機能を組み込んで分析することもできる。

 アプリケーション配置機能は、大規模なシステムなどで、在庫管理や出庫管理などのJavaプログラムが複雑になっている場合に、業務に必要なアプリケーションをまとめて分散環境に配置できる機能だ。複雑になり過ぎているケースでは、配置途中で回線エラーが発生する可能性も高く、配置に失敗してシステムダウンするケースもあるという。しかし、MCOneでは業務ごとにアプリケーションをまとめて自動的に配置するので、このリスクを低減できるとした。

 通常の業務システムでは動いているアプリケーションを更新する場合に、1度サービスを停止して更新しなければならない。しかし、一時停止なしで更新できる機能を使うと、最大5世代のアプリケーションバージョンを並行して動かすことができるため、サービスを一時停止させることなく、一部のサーバずつ更新することができる。価格は、業務トレース機能がサーバ3台(メイン2台、サブ1台)の場合で41万2000円から。業務デプロイメントが6CPU(メイン4CPU、サブ2CPU)の場合で211万2000円から。

(@IT 大津心)

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