水冷、空冷の2製品を発表

APC、サーバラックを“列で冷やす”取り組みを強化

2007/05/29

 エーピーシー・ジャパンは5月29日、データセンター内の冷却ソリューションを強化する新製品2種を出荷開始した。

 無停電電源装置(UPS)で成長してきた同社は、近年ラックや冷却装置を含めたデータセンター向けインフラ製品群を、「InfraStruXure」というシリーズ名で展開している。このうち冷却装置で同社が力を入れているのは「InfraStruXure InRow」。“in row”は“列の中”の意味で、サーバラックの列に割り込むようにして冷却装置を設置する。サーバから背面に排出される熱を帯びた空気を、ファンと冷却ユニットで冷やし、前面に排出する。

apc01.jpg InfraStruXure InRow RP DX

 これまでサーバの冷却では、フリーアクセスフロアの床下から冷気を送り込み、下から吹き上げるようにする仕組みがよく用いられてきた。しかしこれではいわゆる「ホットアイル」(熱を帯びた排気を集中させるラック列間の通路)だけでなく、「コールドアイル」(冷気が集中する通路)の上部まで熱気が回ってしまう。冷却効率も高くなく、1ラック当たり3〜7kWの冷却が限界だと同社は指摘する。

 InRowシリーズでは、サーバラックから水平に吐き出される排気を、水平に逆方向で取り込むため、最短距離で冷却できる。熱気と冷気が混ざり合うことも少ない。これらの点から、冷却効率は非常に高く、20〜30kWの冷却も可能という。

 エーピーシーはすでに、水冷式で18kW(呼称能力)に対応する「InRow RC」を販売している。今回発表したのは同じく水冷式で呼称冷却能力を41kWに高めた「InRow RP CW」、そして空冷式を採用し、31kWの呼称能力を持つ「InRow RP DX」の2モデル。RP CWはとにかく強力に冷やしたいというユーザー向け、RP DXは水冷式が強力だと分かっていてもデータセンターに水を持ち込みたくないというユーザー向けだとしている。エーピーシー・ジャパンは出荷開始後半年で、これら2モデルを30台程度販売したい考え。

 なお、米エーピーシーは2007年2月14日付けでフランスのSchneider Electricに買収され、同グループのMGE UPS Systemsと統合された。

(@IT 三木泉)

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