HP「仮想化」「自動化」技術 担当者インタビュー

「仮想化」の先にあるもの

2007/05/31

仮想化技術と「15%」の稼働リソース

HP写真 米ヒューレット・パッカード フランシス・グイダ氏

 仮想化技術の議論でよく引用される数字がある。米国のある調査会社が企業で使用されるIT環境の実働リソース量について「実際には15%しか使用されていない」という主旨のコメントを発表したことがある。この「15%」という数字の衝撃度はなかなか大きく、仮想化技術の有効性を論じる際にたびたび引用される。

 来日した米ヒューレット・パッカードのフランシス・グイダ(Frances Guida)氏(Manager, Virtualization Programs Enterprise Storage & Servers)もこの15%に言及した。実は、2004年に来日した同社 Utility Computing Directorのニック・バンダージップ(Nick van der Zweep)氏もこの15%を引用(「ユーティリティ化に見るHPがユニークな点」)している。

HP写真 米ヒューレット・パッカード ビリー・コックス氏(自動化技術担当ディレクター)

 グイダ氏はさらに調査会社のデータを引用しながら、大規模企業の75%がなんらかの形で仮想化技術を導入しているとし、そのうち、14%のOSのインスタンスが仮想環境で稼働しているとした。「2010年には44%のOSが仮想環境で動くようになるとその調査会社は予測している」とグイダ氏。情報システムにおける仮想化技術の導入は、IT専門メディアが喧伝するほどには導入されてはいないということなのだろう。しかし、流れは着実にその方向へ進んでいる。

 「ここ5年ほどで仮想化技術は飛躍的に進歩した」とさらにグイダ氏は言う。実際、同社の仮想化関連製品のラインアップはこの5年で飛躍的に豊かになった。同社では、サーバの仮想化技術を統合して「HP Virtual Server Environment」(VSE)としてまとめ、仮想化技術で実現できるいくつかのメリット(「パーティショニング機能」「リソース管理機能と制御」 「ユーティリティ・プライシング」「信頼性の高いシステム構築」)をアピールしている。

ITでビジネス上の成果を得るには

 情報システムにおける仮想化技術の導入は現実的なものだろう。確かにメリットもある。しかし、既存の情報システムのインフラを仮想化技術を導入して再構築することは口で言うほど簡単なことではない。HP自身は世界規模で自社のデータセンターを統合し、インフラ部分も再構築したと発表しているが、その先進性に追随できる企業が現時点で多いとは言えない。

 HPは先頃、ビジネス・テクノロジー(BT)という新しいビジョンを打ち出し、そのビジョンの元に、情報の最適化、技術の最適化、柔軟なインフラ環境という3つの要素を置いた。このビジョンを通じて、“IT環境の最適化が、ビジネス上の成果の獲得へつながる”とのメッセージを顧客企業に伝えようとしている。

 メッセージを伝える先は、主に企業の情報システム担当の責任者(CIO)だが、ここで言われるCIOは、情報システムの運用・管理責任者という狭い範囲の役割に留まるものではない。グイダ氏は、「次世代のデータセンター構築の成功には、ITに関わる人材だけではなく、業務部門の人々とのパートナーシップが重要になる」と指摘する。同社がBTというビジョンのもと、仮想化技術(およびワークロード制御の自動化技術)を活用してインフラの再構築を顧客企業に提案するには、技術的なメリットを提示するだけではなく、企業の政治的、文化的な問題にまで踏み込み、各事業部が有するITリソースの共有化を実現するところから始めなければならない。

(@IT 谷古宇浩司)

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