紙書類、改ざん・偽造防止の最前線

電導インクで書類の真贋判定

2007/07/04

 証書、契約書、鑑定書、あるいは処方箋(しょほうせん)といった紙の重要書類の世界では、これまで印鑑やサイン、特殊な印刷技術を使うことでコピーや偽造を防止してきた。また、役所が発行する住民票などに用いられるもので、コピー機による複写を行うと隠された文字が浮かび上がる特殊な用紙が一般的になりつつある。

 そんな紙書類の偽造防止技術に、新しいアイデアが登場した。7月4日から6日まで東京ビッグサイトで開催中の「第2回オフィスセキュリティEXPO」で、ヒサゴレーベルは、新たに完成したばかりの偽造防止技術を応用した「セキュリティペーパー」を、いくつか展示中だ。

 1つ目は電気を良く通す「電導インキ」。一見ふつうの黒インクで印字された書類のように見えるが、実際には書類の周囲を取り囲んでいる飾り枠が、電気を通す特殊なインクで印字されている。偽造は不可能ではないが、そもそもただ見ていただけでは特殊インクと分からないのがミソだという。

osec01.jpg 「電導インキ」を使った書類の例。縁の飾り枠にテスターを当てると通電性が高いことが分かる
osec02.jpg 肉眼では線分にしか見えない「マイクロ文字」。コピーをしても細かすぎて文字は再現されない

 同じく、ちょっと見ただけで分からないのが「マイクロ文字」。ちょっと見ただけでは単なる太めの線に見えるが、倍率が10倍以上のルーペなどで拡大して見ると、実は細かな文字列が刻まれている。これも肉眼では気付かないため偽造防止に有効。また、細かすぎてコピー機で文字は再現されないという。

 「蛍光繊維配合セキュリティーペーパー」は真贋判定が可能な、特殊な紙だ。3種類の蛍光繊維を紙にすき込み、その蛍光色のパターンをブラックライトなどを照射して読み取る。そのパターンは1枚1枚の紙に固有のもので、指紋認証における個人の指紋パターンのようにユニークで、偽造はきわめて困難だという。

 「感温インキ」は、体温程度の熱で、ピンクや青といった色が無色に変化する特殊なインクだ。印章などで用いる。紙に載った感温インキは、紙の裏から指を当てることでスッと消えてなくなり、指を離すと再び色が戻ってくる。これも偽造が不可能というものではないが、使う場面によっては効果的な偽造防止になるという。

 ヒサゴレーベルでは今後、順次商品化を進める。価格は蛍光繊維配合セキュリティーペーパーで3000枚当たり18万円など。

osec03.jpg 蛍光繊維配合セキュリティーペーパー。ブラックライトを照射すると、その紙に固有のパターンが浮かび上がる
osec04.jpg 書類の背面から印章部分に指を当てると、指の熱でインクが無色となる。写真では「S」の字の上半分が消えかかっている

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(@IT 西村賢)

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