鍵は完全な自立

“冷却不要”のデータセンターに「イエス」

2007/08/06

 8月1日にカリフォルニア州スタンフォードで開催された第4回「Always On Stanford Summit」で行われたグリーンデータセンターに関するディスカッションでは、冷却設備を必要とせず、消費電力を大幅に削減できるデータセンターが将来実現する可能性があるかという質問がパネリストに投げ掛けられた。

 やや意外なことに、その答えは――全員一致で「イエス」であった。

 そのコンセプトとは、データセンターが完全に自立型になれば、電源供給や冷却システムの障害について心配しなくても済むというものだ。すでに IBM、ヒューレット・パッカード(HP)、サン・マイクロシステムズなどの企業が、この分野での研究とテストを行っている。現時点では完全自立型のデータセンターとまでもいかなくとも、これらの企業は冷却不要なコンポーネントを提供する準備を進めている。

 サンは、外部の冷却設備を必要としない自立型データセンターの実現に最も近い位置にいるようだ。

 サンのディスティングイッシュドエンジニアであるスボドゥ・バパット副社長は、「すでに当社のBlackboxでは、こういった自立型データセンターの1つの形態を実現した。必要なのは、コンクリートの床、冷水供給源、電源だけであり、どこでもポータブルデータセンターを設置することができる」と語る。

 サンは昨年10月17日、「Project Blackbox」を発表した。これは、ストレージ、コンピューティング、ネットワークインフラのハードウェアとソフトウェアを組み合わせ、高効率の電源および水冷装置と一緒に、標準の20×8×8フィート(約6×2.4×2.4メートル)の輸送コンテナをベースとするモジュラーユニットに組み込んだシステムである。

 各Blackboxは、最大250台の「Sun Fire」ブレードサーバ(標準の幅19インチ[約48センチ]サイズ)を収容し、最大で1.5ペタバイトのディスクストレージ、2ペタバイトのテープストレージ、7Tバイトのメモリを提供する。

 市場調査会社IDCによると、設置スペースや電源の効率的利用などの目的で一部のコンポーネントを取り除いたサーバであるブレードは、米国と欧州で最も成長著しいサーバのカテゴリである。一般に、ブレードは現在出回っているサーバのタイプの中では最も発熱量が少ない。

 Blackbox自体は外部の冷却設備を必要としない。

 「冷却不要なデータセンターの実現に向け、当社は今後数年間で大きな前進をする見込みだ。われわれはすでにその方向に進んでおり、今後も低消費電力プロセッサや優れたデザイン、そのほかのコンポーネントを通じてシステムをさらに改善する方法を考案するつもりだ」とバパット氏は話す。

 一方、HPで技術サービスを担当するマイク・リゴダンゾ上級副社長によると、同社は空気の循環や空調ユニットの配置に関して最適なデザインを採用するなど、データセンターの改良に向けた業界の取り組みをリードしているという。

 「大規模なデータセンタールームはどれも同じというわけではない。どのデータセンターにも空気循環やデザインで独自の課題があるため、最初にデータセンターを適切にセットアップするサービスが必要だ。効率的な運用には、何よりもまずデータセンターをきちんと設計することが不可欠だ」とリゴダンゾ氏は話す。

 バパット氏によると、データセンター全体の電力消費量を監視し、それを現在のワークロードに応じて動的に調整する新しいソフトウェアが間もなく登場する見込みだ。これは大きな電力節減ファクターになるという。

 IBMでグローバルサイト/施設を担当するスティーブ・サムズ副社長は、「われわれはすでに、摂氏50度に耐えられる堅牢なデータセンター用コンポーネントをいくつか開発した」と話す。

 「冷却設備を一切必要としないデータセンターがいずれ実現すると想像するのは難しくない。これらのデータセンターは何百倍も効率的なものになり、消費電力も劇的に減少するだろう」(同氏)

 サムズ氏によると、人々は一般に「ITの進歩を予想するのが非常に下手だ」という。

 「いつか将来、過去を振り返ったとき、実際よりももっと早く多くのものを改善することができたことが分かるだろう」(同氏)

原文へのリンク

(eWEEK Chris Preimesberger)

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