日本BEAがNetwork Gatekeeperの最新版を出荷

通信事業者の“いま”とNGNをつなぐサービス管理とは

2007/08/07

 日本BEAシステムズは8月3日、通信事業者用サービス管理製品の新版、「BEA WebLogic Network Gatekeeper 3.0」を出荷開始し、SDKのダウンロード提供を始めた。BEAは通信関連のプラットフォーム製品として、このNetwork Gatekeeperと「BEA WebLogic SIP Server」を展開してきた。WebLogic SIP ServerがNGNのための製品であるのに対し、「Network Gatekeeperは通信事業者が現在のサービスにも使える製品。このため世界的に多くの通信事業者がすでに導入を進めている」と、米BEAのBEA WebLogic Communications Platformワールドワイドプロダクトマーケティング担当ディレクタであるケン・リー(Ken Lee)氏は話した。

bea01.jpg BEA WebLogic Communications Platformワールドワイドプロダクトマーケティング担当ディレクタ ケン・リー氏

 Network Gatekeeperは、通信事業者がサードパーティのサービス事業者に対して自社が提供するサービスをリアルタイムに管理する製品。自社サービスのそれぞれについて、サードパーティからのアクセスの可否を制御したり、「毎秒XXコネクション」といった形で事前に締結されるSLA(Service Level Agreement)を確保するなどの機能を提供する。

 リー氏は現在の時点における通信事業者にとってのNetwork Gatekeeperの意義を、「この製品の目標は通信事業者がサードパーティに対する既存のサービスからより大きな利益を得られるようにするとともに、新たに開発するサービスも一体的に管理できるようにすること。通信事業者はそれぞれSDP(Service Delivery Platform:自社サービスを外部に提供するためのインターフェイス)を構築している。しかしサードパーティの管理はコスト効率よく行わなければならない。また、特にiモードなどのように多数のサードパーティがいる場合には、これらの事業者によるアクセスをサービスレイヤで制御し、SS7にしろIMSにしろ、一貫したポリシーを適用し、個々のサービスがほかに影響を与えないようにして、自社ネットワークの健全な運用を確保しなければならない」と説明した。

新バージョンはポリシー管理の範囲を拡大

 Network Gatekeeper 3.0では以下のような新機能が加わった。

 まず、外部から同製品のポリシーエンジンを呼び出せるようにするためのインターフェイスを提供、Gatekeeperを通らないアプリケーションも含めてポリシー制御が行えるようになった。また、地理的に分散配置したNetwork Gatekeeper間でのリアルタイムな同期化が実現した。これにより1カ所のNetwork Gatekeeperがダウンした場合でも、サービスへのアクセス状況に関する情報をほかのNetwork Gatekeeperに引き継がせてポリシー適用を継続できるようになった。

 また、Network Gatekeeperは今回のバージョンでWebLogic Server上に移行した。「これにより、Network Gatekeeperが提供するすべてのテレコムWebサービスがWebLogic ServerのWebサービスセキュリティ機能を活用でき、セキュリティメカニズムを1つにまとめられる」(リー氏)。さらに新製品ではIMSへのネイティブなインターフェイスを実装、今後のIMSへの移行にも備えられるようにした。

 「これで通信事業者はステップ・バイ・ステップで進むことができるようになる。既存ネットワークからSDPを構築し、次にこれに対してポリシーを適用、さらにIMSへの橋渡しもできる」とリー氏は話す。

 すでにNetwork Gatekeeperを導入したオランダのボーダフォンや英国のO2もNGNではなく、既存のサービスのSDPにこの製品を適用しているが、これらの企業はNGNに移行した場合にも同じポリシーエンジンを使い続けられることにメリットを感じているという。

(@IT 三木泉)

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