利用実態から採算性を調査

Skype、固定電話への通話で分課金なしも検討中

2007/08/24

skype01.jpg スカイプ・テクノロジーズ日本オフィス ジェネラル・マネジャー 岩田真一氏

 大規模なネットワーク障害と夏期休暇が重なって埋もれてしまっていたが、Skypeは着々とサービス・機能を強化している。8月23日に都内で会見したスカイプ・テクノロジーズ日本オフィスの岩田真一氏は、8月9日に発表したSkypeの最新バージョン「Skype 3.5」、6月に提供を開始した有料サービス「SkypePro」などについて改めて説明を行った。

 Skype 3.5では動画共有サイト「Dailymotion」「Metacafe」からピックアップした動画を「ムード」と呼ばれる自分のプロフィール部分に登録できるようになった。ムードは、友だちリストに表示されるもので、近しいユーザーとの動画共有が容易に行える。今後は映画の広告ムービーを流すなどバイラルマーケティングのツールとしての活用も視野に入れているという。

skype02.jpg バージョン3.5から、プロフィールに動画共有サイトからピックアップした動画を登録できるようになった

分課金なしの可能性を巡って利用実態を調査中

 SkypePro版はヘビーユーザー向けに追加機能をパッケージしたサービス。月額300円がかかる(ヨーロッパでは2ユーロ)。SkypeProには、通話を別のSkypeユーザーや外部の固定電話、携帯電話に転送する「着信転送」の機能や、050番号を取得してPCで電話を受けられるSkypeInの4500円分の割引、ボイスメールの機能、あらかじめ海外の番号を登録しておくことで、固定電話や携帯電話からSkypeネットワーク経由して格安の国際電話をかけられる「Skype To Go」などが利用できる。Skype To Goは、電話をかける先の国のSkypeOut接続料(4.9円)と現地の市内通話料金、それと発信側の電話の通話料金だけで利用できる。登録番号を日本にある自宅や会社のものにしておけば、海外に出た時に、公衆電話や現地の携帯電話から日本へ低料金の国際電話をかけることもできる。

 日本で提供されているSkypeProでは現在未対応だが、ヨーロッパ諸国などではSkypeから固定電話に発信した場合に、SkypeOutの接続料金だけが課金され、分単位の課金がゼロとなる定額制通話も提供されている。この分課金ゼロの日本市場での導入について、岩田氏は「導入の計画はあるが、現在、日本のユーザーの利用実態を調査中。あまり長時間の通話が多いようなら完全無料にはできない可能性もある。あるいは300円を値上げする、上限の時間を決めるなど、どこでブレークイーブンとなるかを検討中だ」と話した。

 Skypeは6月末現在、全世界で2億2000万のユーザーが登録している。日本では7月末現在で570万ユーザー。日本では1日に9000〜1万1000ユーザーの登録があり、「伸び率が上がっている」(岩本氏)。SOHOを含めた法人ユーザーの割合は30%程度。大規模なエンタープライズ市場をカバーするような計画は現在のところないという。

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(@IT 西村賢)

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