選ばれる記事にはワケがある

@IT編集者が選ぶ2008年必読記事:「Linux Square」編

2008/12/26

 オンラインメディアの編集者が一番気にするのは記事のページビューですが、近年、指標として注目されているのがソーシャルブックマークの登録数です。登録と共に読者のコメントも参照できるため、刺激を受けている編集者はたくさんいます。今回の「@IT編集者が選ぶ2008年必読記事」は多くのブックマーク登録を集めているLinux Squareフォーラムです。

 現在、Linux Squareフォーラムで「はてなブックマーク」最多登録を誇る記事が「Sambaサーバ構築、5つのべからず:2008年版」です。SambaはLinuxやUNIX、Windowsが混在する環境で利用できるオープンソースソフトウェア(OSS)のファイル/プリンタサーバ。多くの企業で使われている定番ソフトウェアです。最新版の「Samba 3.0」については「Samba 3.0の全貌 改訂版[前編]」と同「後編」が詳しく説明しています。

 Sambaはとても便利なソフトウェアですが、開発面から見たその特徴は「マイクロソフトによる仕様変更への追随と機能追加のために、Sambaの仕様変更もすさまじい」ということです。現在、企業で使うクライアントPCのほとんどはWindows OSを搭載していて、SambaはWindowsの仕様変更や不具合対応のために、日々改良が行われているのです。

 そのため、この記事では「1年前にSambaについて書かれたドキュメントですらすぐに古くなってしまい、陳腐化してしまう傾向があるので、注意が必要です」と警告しています。この記事に「2008年版」とわざわざ付いているのもそのためで、記事自体も「この記事の有効期限は2008年いっぱいと考えてください」と断っています(担当編集者によると2009年版も検討中ということです)。

 もう1つのお勧め記事は「訴訟が増えている!? OSSライセンス違反」です。欧米ではOSSの利用が一般的になるにつれて、関連する訴訟も増えているといいます。その多くはOSSの著作権を無視し、ライセンスに反する利用をしたケースです。GNU GPL(GNU General Public License)が再頒布の条件としてソースコードの開示を定めているのは有名な話でしょう。

 この記事ではOSSに関する知的所有権の基本を説明し、著作権法の考え方などを紹介しています。そのうえで「OSSライセンスの対応は、理系的な答えを求めては対応を誤る」として、「デジタルな『0か1か』という固定的な考え方では済まない」としています。利用する側も最新情報をチェックし、柔軟に考える必要があるようです。

 記事の執筆者であるNECの姉崎章博氏は2008年9月に行われた「Japan Linux Conference 2008」でOSSライセンスについて講演。@IT NewsInsightはレポート記事「『OSS、組み込んでしまえば分からない』なんて言う人いませんか?」を掲載しました。エンジニアにとって知的所有権の話題は親しみがないかもしれませんが、姉崎氏は「商用製品でOSSを正しく使うものが増え、OSSへの還元が増えれば、OSSの発展につながる」と述べています。

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(@IT 垣内郁栄)

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