吉か凶か

オラクルのサン買収、MySQLコミュニティの反応は?

2009/04/28

 米カリフォルニア州サンタクララのハイアットリージェンシーホテルで開催された「MySQL 2009 Conference」の最終日、eWEEK記者はカンファレンスバッジを着けた参加者に次々と歩み寄って、少し時間を割いてくれるよう頼み、単純な質問を投げ掛けた――「MySQLにとって米オラクルは吉か凶か?」という質問だ。

 この質問に対して、誰もが一様に最初は微笑を浮かべ、それから慎重に言葉を選びながら答えた。彼らの反応は興味深いものだった。「絶対に凶だ」と言い切る人もいれば、同じくらいきっぱりと「MySQLにとって大いにプラスになる」と答える人もいたが、参加者の多くはこの両極端の中間の見解を示した。

 米IBMがサン・マイクロシステムズの買収を断念した後、オラクルが4月20日にサンを約74億ドル(実質で56億ドル、1株当たり9.5ドル)で買収すると発表したのは、多くの人々にとって寝耳の水の出来事だった。IBMは1株当たり9.4ドル(総額約65億ドル)の金額を提示したが、サンは4月4日、この提案を拒絶した。

 カンファレンスに参加したMySQL管理者はeWEEKの取材に対し、「ある参加者はサンの株式を直ちに売却したらしい」と話してくれた。「といっても、その人は4ドルで買った株を2倍の値段で売ったのだ。彼がオラクルとサンの取引に怒っているのか、それとも株でもうけようとしているだけなのかは分からない。たぶん、その両方だろう」

 スウェーデンにあるサンの営業所で主任セールスエンジニアを務め、データベースに関する記事を定期的にブログに投稿しているアンダース・カールソン氏は、MySQLがオラクルの傘下に入ることは、同データベースおよびオープンソースコミュニティ全体にとって「すばらしい」ことだと考えている。

 「私はオラクルで働いていたこともあり、彼らの考え方を知っている。彼らは、多くの人々が思っているよりもずっと深くオープンソースに関わっている」とカールソン氏は話す。

 「MySQLのリーダーシップを握るというのは、同社にとって大きな前進だ。彼らはデータベースのメルセデス(ベンツ)であるオラクルデータベースに加え、中小企業市場向けにMySQLを手に入れたのだ。より多くの選択肢を提供できるようになったのだ」(同氏)

オラクルに収益をもたらすMySQL

 カールソン氏によると、MySQLはオラクルのエンタープライズデータベースよりもずっと低価格で販売されることになるだろうが、それでもMySQLはオラクルに収益をもたらし、しかも彼らはこれまでの競合製品を自分たちの支配下に置くことができるという。

 「例えば、オラクルが400万ドルのデータベースシステムをある企業に売り込もうとしたところ、その企業にはそんな余裕がないとする。その顧客は結局、10万ドルでMySQLシステムを購入するかもしれない。ラリー(エリソンCEO)にとっては、それでも大満足だろう。10万ドルが自分たちの手に入り、IBMやサイベースには400万ドルが入らなくなるからだ」とカールソン氏は語る。

 オラクルの新たな関与に対して「しばらく様子を見る」という開発者もいる。

 「何が起きるか心配だが、今の段階では彼らがどうするのかまだ誰にも分からない」と別のデータベース管理者は語っている。

 「買収は数日前に発表されたばかりだ。破談になる可能性もまだある。IBMの場合もトラブルがあったことを忘れてはならない」と話す人もいた。

 ある販売担当者は、MySQLにとってオラクルは凶と出ると考えている。

 「MySQLを所有することは必ずしも、オラクルに自社の標準データベースの改善を促すものとはならない。同社のビジネスの原動力はライセンスの販売だ。彼らにとって関心があるのはそれだけであり、自社のデータベースを改善するモチベーションは存在しない」と同担当者は語る。

 その理由について、「顧客企業が時間内に処理を完了できるようにするためにオラクルデータベースの処理能力を高めてほしいと要求しても、オラクルは“プロセッサコアを増やせば問題が解決する”と答えるからだ」と同担当者は説明する。

 「製品を改良するのではなく、ライセンスの販売を増やすことがオラクルの戦略だ」(同担当者)

MySQLは商談での最後の切り札に?

 ある開発者によると、オラクルは商談の最後の切り札としてMySQLを利用するつもりだという。

 「彼らはOracle Databaseをどうしても売ることができない場合にだけ、最後の選択肢としてMySQLを持ち出してくるだろう」と、この開発者は話す。「それから1〜2年後に再び顧客のところにやってきて、Oracle 12、あるいはその時点での最新版にアップグレードするよう促すだろう」

 「賭けてもいいが、彼らがMySQLにエンタープライズ機能を組み込むとは思えない」(同開発者)

 あるMySQL管理者によると、このオープンソースデータベースにオラクルの財務的後ろ盾が付くのは良いことだという。サンの財務基盤が「危なっかしい」状況であるからだ。

 「私の考えでは、最も重要なことはOracle DatabaseとMySQLが同じ側に立ったということだ。これはMicrosoft SQL Serverと戦う上で強力なタッグになる」と同管理者は話す。

 MySQLとSQL Serverに対する古くからの競合ベンダーである米Ingresのロジャー・バークハート社長兼CEOは、eWEEKへの電子メールの中で「オラクルはSolaris OSを欲しがっており、またマイクロソフトの開発エコシステムの力に対抗するために、サンのJava資産をコントロールしたいと考えている」と述べている。

 「MySQLデータベースとGlassFish Application Serverは無償でパッケージに付属しているが、オラクルはこれらの製品が自社の主力データベースとWebLogicアプリケーションサーバビジネスのライセンス収入を浸食するのを許さないだろう」とバークハート氏は記している。

 「GlassFish/MySQLは、オラクルのプロプライエタリ製品の業務利用への入り口を提供する開発者向け製品として位置付けられるだろう。本格的な業務用途に対応する競争力の高い製品にするのに必要な長期的投資は期待できず、オラクル独自のインタフェースと管理ツールがMySQLで数多く採用される可能性が高い」(同氏)

 いろいろな意見が聞かれたが、結局のところ、あるデータベース管理者のコメントに落ち着くようだ。

 「すべてはラリー(エリソン氏、オラクルの共同創業者でCEO)次第だ。何がどうあれ、彼は自分がやりたいようにするだろう」(同管理者)

原文へのリンク

(eWEEK Chris Preimesberger)

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