1GB/30GBで月額1480円など一気に4プラン

さくらVPS上位プラン追加! 田中社長に狙いを聞いた

2011/02/24

 さくらインターネットは2月24日、「さくらのVPS」の上位プランを3月9日から提供すると発表した。2010年9月から提供してきた従来のサービスも含めて、新メニューは以下の通り。

plans.png さくらのVPSのスペックと価格(従来の512MBのものは、「さくらのVPS512」に改名されている)

 さくらの田中邦裕社長は、「リリースから1年で1万件に届けば上出来だと思っていたのですが、実際には9月1日の提供開始以来、すでに8000件を超える利用を頂いています」と手応えを感じているという。

photo01.jpg さくらインターネット代表取締役社長の田中邦裕氏

 順調な滑り出だしの理由は、「手元にサーバがあるかのように使えるVPSが、実は(日本国内には)なかったということなんじゃないかと思います」と分析している。さくらのVPSは、当初からWebブラウザだけでシリアルコンソールが使える独自の機能を実装していて、リモートであることを感じさせない使い勝手を実現している。OSの再インストールなども、“自宅サーバ”に近い感覚で自由にできる。

 さくらインターネットは、当初から技術志向の強いユーザーをターゲットとしていて、技術面、価格面で優位だった海外のVPSを積極的に利用している層の取り込みを意識していた。この狙いは一定の成果を上げているようだ。

 「申し込み画面のアクセスログを見ると、さくらのVPSのお客様が使っているブラウザの1位はFirefoxなんですよ。2位はChromeで、IEは3番目です。それから、利用OSで見るとCentOSが1番なのは当然としても、UbuntuとFreeBSDも多いという特徴があります。これは、このサービスのユーザー層を物語っているように思いますね」(田中社長)

 仮想化に使うインフラも、商用のハイパーバイザーではなく、Linuxカーネルの一部としてOSSベースで開発が進むKVMを利用するなど、エンジニアが膝を打つポイントを抑えている感がある。

海外VPSと比べても安価なIaaS

 一方、従来提供してきたVPSは1種類だけ。メモリ容量512MB、ディスク容量20GBと、ソーシャルアプリのホスティングなどには力不足感が否めず、上位プランへの要望が強かったという。

 「さくらのVPSは、低価格のプランでは競合に価格で負けているケースもあるのですが、上位プランではこれが逆転すると思います」(田中社長)

 コスト比較として、ここでは、競合として特に意識していたという海外のVPS、IaaSサービスと、メモリ1GB〜1.5GBのレンジ、および8GBプランで比較してみよう。ここでは米国のVPSの中でも人気が高いLinodeを例に取る。

comp.png 料金比較。AmazonEC2は最も安価なUS-N.Virginiaの料金。また年額はReserved Instancesの価格。Linodeの最上位プランは4GBまでだが参考として掲載。さくらのVPSの年額は初期費用と年間一括払いの1カ月引きという条件を考慮に入れて「初期費用+月額×11カ月」で計算

 AmazonEC2は素のままの従量課金で使った場合と、年間の利用予約をする場合で大きく料金が異なる。このため月額の比較よりも年額換算比較のほうがフェアだろう。いずれにしても海外のVPS、IaaSサービスと遜色がないか、もしくは安価であることが分かる。

 「最上位プランの物理サーバは64GBのメモリを搭載していて、仮想サーバは6つホストしています。非常に強力です。8GBのプランを2つ契約いただいて、それぞれMySQLを入れれば、月間1億PVもさばけるのではないでしょうか」(田中社長)

クラウドはどうするのか?

 さくらのVPSとは別に、同社は夏頃リリースをめどに、現在「さくらのクラウド」の準備中だ。すでに数社がアルファサービスとして利用しているという。

 さくらのVPSは、クラウド戦略への布石とも言えるもので、技術的には「さくらのVPS」と「さくらのクラウド」はインフラ自体はほぼ同一のものになるという。異なるのはAPIの有無、ユースケース、料金体系だ。

 「VPSは稼働率が80%程度と高く、クラウドと違って固定台数お使いいただいているケースが多い。このため初期費用を設定し、月額を安くしています。もし初期費用なしであれば、例えば1.5Gのプランで月額2000円を切るのは難しかったでしょう」(田中社長)

 アマゾンは、APIによるインスタンスの操作と時間課金によって、エラスティックなコンピュータ資源利用という“クラウド”市場を切り開いた。この後に、専用サーバの代替としてのニュアンスが強いReserved Instancesを出し、ユーザーが稼働率を保証するなら安くするという料金体系を付け加えた。

 さくらは、これとちょうど逆の道をたどりそうだ。つまり、現在は初期費用を設定し、ある程度の期間、決まった台数を使う市場をターゲットとしている。一方、さくらのクラウドでは、より短い時間単位でサーバ台数を増減させるような利用形態も想定する。このためにAPIによるインスタンスイメージの入出力ができる「VMイメージバンク」も開発した。今のところVPSとクラウドは別のニーズに応えるサービスだが、OSイメージの移動を可能にするなど、VPSとクラウドの境目は、ちょうどAmazonEC2の完全従量モデルと予約割引モデルのように、料金体系の違いということになっていきそうだ。「無理にクラウド化するようなものでもないのですが、すべてのVPSがクラウド化していくのが自然かなと思います」(田中社長)

今後はKVSサービスや地域指定インスタンス起動も

 クラウドの今後の予定については、KVSサービスや地域別のインスタンス起動時オプションの提供などを考えているという。「KVSについては、マルチテナント対応であること、グローバルに開発されているものという基準で選定中です。今はバックエンドのストレージを検討中です」。エンタープライズ向けの高価なストレージは買えないが、冗長性排除などの機能でもOSSの実装を探している段階だという。

 現在、さくらのVPSは、ネットワークトラブル時の可用性を考えると不安がある。VPSのインスタンスは大阪・堂島のデータセンターで起動するが、もしネットワークのトラブルがあった場合には、すべてのインスタンスにアクセスできなくなる可能性もある。このため、今後は、追加料金を設定するなどして、インスタンスを起動するデータセンターを大阪、東京、北海道などと指定できるオプションも検討したいという。この3拠点は、すべて異なるAS番号が割り当てられているためネットワーク的に独立性が高く、耐障害性が増すのだという。

(@IT 西村賢)

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