仮想化できめ細かな分割も実現

F5の最新ADCはニーズに応じた拡張が可能

2011/06/14

 F5ネットワークスは、同社が7月に販売開始するアプリケーションデリバリコントローラ(ADC)製品「VIPRION 2400」で、INTEROP TOKYO 2011の大企業向けネットワークインフラ構築製品 特別賞を受賞した。

 F5は、ボックス型ADC 製品シリーズの「BIG-IP」で広く知られているが、一方でシャーシ型製品の「VIPRION」を展開してきた。従来のVIPRION(今回、「VIPRION 4400」と改称)は大規模環境向けの製品だったが、より小規模な環境に向けて同社がリリースしたのが今回の新製品だ。VIPRION 2400は80 PLUS Gold認定取得の電源ユニットを採用、省エネの点でも配慮しているという。

 シャーシ型のVIPRIONは、「小さく始めて大きく育てる」ことができる。ボックス型のBIG-IPの場合、性能の増強はボックスの数を増やすことで対応するしかない。VIPRIONでは、例えば最初1ブレードのみで始め、ニーズに応じて1台のシャーシにつき最大4ブレードまで段階的に増やすことが可能だ。人が行う拡張作業は、文字どおりブレードを追加するだけという。あとは自動的にOSと設定が、新たなブレードにコピーされ、能力増強が完了する。ブレードは、1枚に障害が発生しても、他に影響を与えることはない。

viprion01.jpg VIPRION 2400はシャーシ型で、ブレードを4枚まで挿せる

 VIPRION 2400のレイヤ4スループットは、1枚で40Gbps、4枚で160Gbpsだ。F5はVIPRION 2400のコストパフォーマンスも強調している。価格はシャーシが170万円、ブレードは1020万円で、レイヤ4スループット当たりの価格は「BIG-IP 1600」の10分の1、VIPRION 4400の4.6分の1という。

viprion02.jpg VIPRION 2400と既存製品の位置付け

 VIPRIONの次の展開は、2011年8月にリリース予定の「vCMP」。これはVIPRIONハードウェアを独自のハイパーバイザで仮想化し、その上で同社のADCインスタンスを動かすことができる。VIPRION 2400は1個のCPUで1インスタンス、VIPRION 4400は2個のCPUで1インスタンスを動かす。F5は汎用サーバ上で仮想アプライアンスとして動作するADC製「Virtual Edition」を提供しているが、これよりはるかに高い性能を発揮するという。

viprion03.jpg 部門ごとにインスタンスを分けるなどが可能

 vCMPの予価は4インスタンスまで170万円、16インスタンスまでが340万円。通常のVIPRIONのソフトウェア/ハードウェア価格の上に、この料金が乗ってくるため、vCMPにコスト節約効果はない。しかし、プライベートクラウド統合などで、事業部門ごとにビジネス要件が異なる、あるいは運用管理を別にしたいといった場合に、各事業部門に対してBIG-IPのボックスやVIPRIONのブレードをまるごと割り当てるよりも、コスト効率のよい運用が可能だ。1つの仮想インスタンスに何か障害が起こっても、共倒れにならないという良さもある。仮想インスタンスごとにバージョンが違っても問題はない。最新の機能を常に使いたい部門と、安定性を重視したい部門が、それぞれのポリシーでソフトウェアを運用できる利点があるという。

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(@IT 三木泉)

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