SMB向けのストレージソフトウェアも提供へ

[詳報]ヴイエムウェア、VMware vSphere 5などを発表

2011/07/13

 ヴイエムウェアは7月13日、「VMware vSphere」のメジャーバージョンアップを発表した。最新版「VMware vSphere 5」は今四半期中に提供開始の予定。同社は併せてストレージソフトウェアなどの新製品や、既存関連製品の機能強化も発表した。本記事では、これを詳しく紹介する。

 今回の発表のテーマは、サーバ仮想化を全社基盤として利用していく際の課題の克服にある。ヴイエムウェア代表取締役社長の三木泰雄氏は、「仮想化の島ができた顧客が今後3年間を見据え、全社基盤としてプライベートクラウドを構築する例が増えている」とする。こうした動きをけん引し、あるいは後押しすることはヴイエムウェアにとって最重要課題だ。

 米国で7月13日1時(日本時間)にWebキャストで新製品を説明した、米ヴイエムウェア CEOのポール・マリッツ(Paul Maritz)氏は、「人々は(IT)インフラストラクチャが消えてほしいと思っている。(一方、)インフラの面倒を見る人は、アプリケーションについて考えることなく、インフラが正常に動いていることを確認できる必要がある」と話した。仮想化インフラ運用の自動化や省力化、そして制御機能の充実が、そのためにますます求められてくる。ヴイエムウェアは今回、VMware vSphere 5とともに、関連製品の強化を発表。これらを「クラウド・インフラストラクチャ・スイート」として統合的に推進していくという。

ストレージ機能の充実が目立つVMware vSphere 5

 vSphere 5で最も目立つのは、ストレージ関連機能だ。主な新機能や機能強化は次のとおり。

新機能Storage DRS

新搭載のStorage DRSは、DRS(Distributed Resource Scheduler)のストレージ版だ。VMware vSphereのライブマイグレーション機能vMotionを、事前設定したポリシーに基づき自動運用するのがDRS。これをストレージで行う。データストアごとの容量利用率やI/O応答時間をトリガーとして、仮想ディスクをデータストア間で自動的に移動することで、平準化を図れる。

新機能Profile-Driven Storage

データストアをRAIDレベルやスナップショット適用の有無などの条件により、複数の階層に分類し、各仮想マシンが求める要件と照らし合わせて、その仮想ディスクを適切な階層に配置できる。ストレージ装置とのAPI連携が必要。

Storage I/O Controlの強化

VM間でのストレージアクセスの優先度付けを行うStorage I/O Controlは、今回NFSに対応した。

仮想マシン1台当たり32のvCPUをサポート

 基本機能や導入・運用を改善するおもな機能は次のとおり。

ESXiへの統一、vCenterの改善

ハイパーバイザはESX Serverが消え、ESXiに統一される。vCenter Serverは仮想アプライアンス版が提供される。管理コンソールのvCenter Clientは、Webブラウザ版が提供される。

新機能Auto-Deploy

これはvSphereホストの導入作業を完全に自動化する機能。新たに調達したサーバ機をvSphereの導入先として設定し、PXEブートするだけで、ネットワーク経由でハイパーバイザのインストールやパッチの適用が自動的に行われる。

拡張性・可用性

仮想マシン1台当たりの最大仮想CPU数は32(従来は8)、最大メモリ容量は1TB(従来は256GB)、ネットワーク性能は36Gbps以上となった。ちなみにネットワークI/Oの優先付けを行うネットワークI/O Control機能は、従来はトラフィックの種類ごとにしか優先度を設定できなかったが、今回、仮想マシンごとに設定できるようになった。また、メモリRAS機能を新たに搭載。障害の起きているメモリページのみを使用停止できるようになったという。

vmware01.jpg 基本性能の強化

製品ラインナップとライセンス方式の変更

 VMware vSphere 5はAdvanced Editionが消え、Standard、Enterprise、Enterrpise Plusに中小規模向けの2つのキット、すなわちEssentials、Essentials Plusを加えた構成になる。ライセンスは物理CPU単位であることに変更はない。しかし、利用する仮想メモリ(vRAM)量に応じたライセンスも適用される。

 少々複雑だが、説明すると次のようになる。Enterpise Plusでは1プロセッサライセンス当たり48GB、Enterpriseでは32GB、Standardでは24GBのvRAMが利用できる。このvRAM利用権はvSphereクラスタ内でプール化できる。例えばシングルソケットサーバ2台でvSphere Standardを導入したとすると、2つのプロセッサライセンスが必要だ。サーバAで、vRAMをそれぞれ18GB割り当てた仮想マシンを2つ動かすと、1プロセッサ当たり24GBのライセンス制限を超えた36GBを、このサーバ(プロセッサ)上で使うことになる。しかし、サーバBで12GBしか仮想メモリを割り当てないのであれば、残りの12GBをサーバAで利用できるのでライセンス上はOKということになる。仮想メモリ量が不足する場合は、その分プロセッサライセンスを追加しなければならない。導入形態によっては、この新ライセンス体系が大幅なコスト増につながる可能性もある。

[2011/7/14追記]もっとも、ヴイエムウェアの身になれば、サーバプロセッサのメニーコア化が進んでいるにもかかわらず、プロセッサ単位のライセンス体系を継続していることを評価してもらいたいということになるだろう。コスト増につながる可能性もあるが、メニーコアプロセッサで軽いアプリケーションを多数動かすようなシナリオでは、ライセンス料を大幅に節約できることも考えられる。

SMB向けのソフトウェアストレージも提供

 ヴイエムウェアはまた、中堅・中小企業向けのストレージソフトウェア製品「VMware vSphere Storage Appliance」を発表した。これはサーバ機の内蔵ディスクをまとめ上げ、あたかも単一の共有ストレージのように使えるソフトウェア製品。ストレージハードウェアを購入しなくとも、本格的なサーバ仮想化環境の構築が可能というのがこの製品のウリだ。市場予想価格は74万9000円。

 「VMware vCloud Director」もバージョンが1.5に上がる。最大の特徴はリンクド・クローンの利用だ。リンクド・クローンとは、あるデータの複製を、差分だけで作成できる機能のこと。これを、仮想マシンテンプレート(ひな形)からの新規仮想マシンのプロビジョニングに適用すると、実際には新規仮想マシンのために追加あるいは修正したデータだけが新たに作成され、ひな形と同一のデータについては、ひな形のデータ自体で代用される。このため、ディスク利用効率が大幅に向上する。また、新規仮想マシンのプロビジョニングに掛かる時間も大幅に短縮できる。vCloud Directorでは、ユーザー部門が新規仮想マシンや新規アプリケーションのプロビジョニングを申請するためのiPadアプリケーションも提供するという。

 災害対策用製品の「VMware vCenter Site Recovery Manager(SRM)」も、新バージョン5となって、メリットの大きい機能が加わる。1つはフェイルオーバー後のフェイルバックが可能になったこと。もう1つは新機能vSphere Replicationによって、ストレージ装置の複製機能を使わずに、SRMのソフトウェア機能だけで遠隔拠点へのデータ複製ができるようになったことだ。もちろん大量なデータを伴う災害対策にはハードウェアのほうが有利なことには変わりがない。しかし、災害対策の敷居を下げることに貢献するのはたしかだ。

(@IT 三木泉)

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