構成情報DBで依存関係を相関分析

HPが運用監視製品の最新版、障害原因の切り分けまで自動化

2011/10/25

 日本ヒューレット・パッカード(HP)は10月25日、統合運用管理ソリューションの最新版「HP Business Service Management 9」(HP BSM 9)を発表した。ITシステムを構成するコンポーネントの関連性や稼働情報を集約するデータベース「ランタイム・サービスモデル」を活用することで、運用管理や障害時の原因切り分けに要する時間を短縮するという。

 HP BSMは、ITシステムの統合運用監視を支援する製品群だ。ネットワークの監視/性能管理を行う「HP Network Node Manager i software」、システムの可用性やパフォーマンスに関するデータを収集、監視する「HP System Availability Management software 9」やアプリケーションパフォーマンス管理製品群などから構成されている。

 今回新たに、収集した監視情報に分析を加え、障害の根本原因を指摘するイベント管理製品「HP Operations Manager i software 9」を追加した。

 例えば、「アプリケーション通信エラーが発生している」「物理/仮想サーバの応答がない」「スイッチのリンクがダウンしている」といった障害が同時多発的に発生した場合、まず、どれが根本原因で、どれがその原因によって引き起こされた症状なのかを見極める必要がある。HP Operations Manager i software 9は、ランタイム・サービスモデルに格納されているシステム構成情報/稼働情報を参照してイベントの相関分析を行い、根本原因を発見。仮想サーバの増加やクラウド導入などで複雑さを増すIT環境の中でも、管理者が迅速に対処を行えるよう支援する。

 従来、障害原因を切り分ける際には、高いスキルを持つエンジニアが手作業で情報を整理、分析し、優先順位付けする作業が求められた。HP Operations Manager i software 9は、これまで監視ツールが注力してきた「検知」の部分ではなく、「分析・診断」の部分を自動化することで、「人手をかけることなく、障害にいち早く対処できる」(日本HP 執行役員 HPソフトウェア事業統括 中川いち朗氏)。

 なお、分析の核となるランタイム・サービスモデルは、システム構成管理情報のデータベースだ。「実際のITの現場における変化をリアルタイムに把握し、ITコンポーネントの関連性と、各コンポーネントの業務サービスへの影響を可視化する」(中川氏)ことが特徴で、同社の運用管理製品だけでなく、サードパーティの製品からも稼働情報を収集する。

 HP Operations Manager i software 9の価格は420万円からで、11月1日に出荷を開始する。日本HPは今後、ランタイム・サービスモデルの情報を基にレポートを出力し、中長期的なITの最適化方法を提案する「HP Service Health Reporter/Service Health Optimizer」を提供する予定だ。Service Health Optimizerでは、物理、仮想にかかわらず相関関係を分析し、どのようにリソースを配分すべきか、最適な配置を提案するという。

(@IT 高橋睦美)

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