[Analysis]

携帯電話は今年、神話を再現できるのか?

2002/04/22

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 2001年前半まで急ピッチで成長を遂げていた携帯電話市場だが、ここにきて、その勢いに陰りが見られる。2001年の携帯電話端末の出荷台数は前年割れとなり、各種サービスへの新規加入者数の増加も鈍化している。今年、モバイル市場はどう動くのだろうか?

 現状を見てみよう。サービスという点では、新規加入者の伸びに大きな期待ができないことから、次世代サービスに期待が集まった。だが、先陣を切ってスタートしたNTTドコモのFOMA、韓国、日本で開始したCDMA 1Xのサービス、いずれも市場の決定的起爆剤とはなっていない。端末においても、カラー画面などの先進技術はすでに当たり前となりつつあり、メーカー各社は次の一手を模索している状態だ。

 このような成熟した市場では、通信キャリアは既存ユーザーをいかにして維持し収益を得るかに着目しなければならない。そこで注目されているのがARPU(1ユーザー当りの月平均利用料)の維持。価格競争や新規ユーザー獲得から下落傾向にあるARPU(ガートナー ジャパンによると下落率は2000年が15%、2001年が23%)、不可避ともいえるARPU下落の食い止め、維持、上昇は、通信キャリア生き残りの重要な策だ。打開策とされてきたデータ通信も、必ずしも期待されていた効果を出しているとはいえない。例えば、iモード利用の約半数が電子メール。高付加価値とされたデータベースやトランザクション系の利用率は1割程度にとどまっている。ガートナー ジャパンによると、2006年までの間、日本などのモバイル成熟市場における全売り上げのうち、データの売上比率は3割以下にとどまる見込みという。

 各種調査結果からいえることは、データ売り上げの拡大速度は期待したより遅く、今後もこの傾向は改善されそうにないこと。「2002年、モバイル市場は正念場を迎える」というガートナー ジャパン データクエスト部門 マネージング・ディレクター兼主席アナリスト 田崎堅志氏。だが、否定的要素ばかりではない。田崎氏によると、SMS(ショート・メッセージング・サービス)は欧米では成功しており、潜在的な成長性はあるという。また、GPSや3Gに関しても、“ニーズはあるのか?”という根本的な疑問の声はあるが、「こうしたサービスは単独では成立しない。利用につながる複合サービスの誕生のために、まず開始することが重要だ」との見解を示している。

 日本では普及率50%を上回った携帯電話市場。しばらくはサービスや機能の試行錯誤の時期となりそうだ。

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