[Analysis]

デルでスパコンを買う!?

2003/07/01

supacon.gif

 スーパーコンピュータの処理速度ランキングを掲載しているWebサイト「TOP500」を見ていると、コンピュータに憧れていた時代の素朴な思いがよみがえってくる。巨大な筐体に、高速なプロセッサなど“コンピュータが偉かった時代”が思い起こされるのだ。ランキングのトップにNECのスパコン「地球シミュレータ」が位置しているのも、日本のIT業界を取材している記者として誇らしい気がする。

 しかし、スパコンの世界にもコモディティ化の流れがきているようだ。6月にランキングした500台のスパコンのうち、149台は比較的低価格なXeonやItaniumなどのプロセッサを搭載したサーバを接続したPCクラスタのコンピュータ。特に3位には、Xeon 2.4 GHzを搭載したIAサーバを2304台接続した米Linux Networxのコンピュータがランクインしている。トップ10のうち、PCクラスタのコンピュータは3台ランクインしていて、十分に従来のスパコンと戦っているのだ。

 いうまでもなくPCクラスタのメリットは、従来のスパコンに比べての圧倒的な低コスト。独自技術のスパコンに比べ、オープン系のIAサーバやプロセッサ、OSを採用するためにコストを抑えることができる。構築、管理するエンジニアもオープン系サーバの技術が活用できる。

 PCクラスタを世界で積極的に展開しているのがデルコンピュータだ。デルが米ニューヨーク州立大学バッファロー校に導入したPCクラスタでは、デルの「PowerEdge 1650」を1900台と、100台の「PowerEdge 2650」を接続。バッファロー校に導入した別のPCクラスタは300台のサーバを接続。1T Flops以上のCPU性能を記録するなど、スパコンの代理コンピュータとして利用されている。

 デルは国内でも大学の研究機関やメーカー向けにPCクラスタを構築している。4台のサーバを接続し、動作検証をしたPCクラスタのパッケージ製品も国内で投入する予定だ。パッケージを拡張すれば、政府機関や大規模な研究機関くらいしか所有できなかった高速なスパコンを、IAサーバで実現できることになる。デルでスパコンをネット注文する日も来るのだろうか。

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)